お気に入りのスニーカーを毎日履くと、一体どのくらいで寿命が尽きてしまうのか、不安に感じたことはありませんか?通勤や通学、立ち仕事などで、毎日のように同じ靴を履き続けていると、想定よりも遥かに早くボロボロになってしまったり、知らず知らずのうちに足への負担が増えていたりすることがあります。
実は、スニーカーの寿命は「製造からの年数」という時間の経過だけでなく、「履く頻度」や「休息の有無」によって劇的に変化します。特に「毎日履く」という行為は、靴にとって想像以上に過酷な環境を強いることになります。
この記事では、毎日履くことによる劣化のメカニズムや、見た目では分かりにくい買い替えのサイン、そしてお気に入りの一足を少しでも長く愛用するためのプロ並みの対策について、詳しく解説していきます。私が実践しているケア方法も交えてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- スニーカーを毎日履き続けた場合のリアルな寿命期間
- なぜ毎日履くと「加水分解」や「クッション低下」が早まるのか
- プロも見ている「限界サイン」と適切な買い替えタイミング
- 3足を使い回すローテーション術と寿命を延ばすケア習慣
スニーカーを毎日履くことによる寿命の変化
まずは、スニーカーが本来持っている耐久性と、毎日休まずに履き続けることでその寿命がどのように短縮されてしまうのか、そのメカニズムを深掘りしていきましょう。素材の特性を知ることは、愛用靴を守る第一歩です。
一般的なスニーカーは何年持つのか

スニーカーの寿命について語るとき、まず心に留めておいていただきたいのが「スニーカーは生鮮食品と同じく鮮度が命である」という残酷な事実です。一般的に、主要なスポーツメーカーが製品の耐用年数として想定している期間は、「製造から約3年〜5年」がひとつの目安とされています。
ここで、多くのユーザーが陥りがちな重大な誤解があります。それは、寿命のカウントダウンが「あなたがショップで購入した日」ではなく、「工場で製造されたその瞬間」からすでに始まっているという点です。
なぜ、大切に保管していて履いていなくても寿命が尽きてしまうのでしょうか。その真犯人は、ハイテクスニーカーのミッドソール(靴底のクッション部分)に広く採用されている「ポリウレタン(PU)」という素材にあります。この素材は、ゴムのようにしなやかでクッション性が高いという素晴らしいメリットを持つ反面、空気中に含まれる水分と化学反応を起こし、徐々に分解されていく「加水分解」という避けられない宿命を背負っています。
知っておきたい素材の運命
- ポリウレタン(PU): 加水分解のリスクが高い。高温多湿な環境では製造から3〜5年でソールが崩壊・剥離する可能性が高い。(Air Maxシリーズなどのハイテクスニーカーに多い)
- EVAやゴム: 加水分解はしにくいが、長期間の圧縮で硬化して弾力を失ったり、接着剤が劣化して底剥がれを起こしたりする。
この化学変化は、いわばスニーカーに仕掛けられた「時限爆弾」のようなものです。たとえ一度も足を通さずに箱の中で大切に保管していたとしても、またラップで包んで真空パックをしていたとしても、空気がある限り進行を完全に止めることはできません。実際、製造から5年以上経過した「デッドストック(新品のまま眠っていた在庫)」を購入し、履いて出かけた瞬間にソールが粉々に砕け散った、という悲劇はスニーカー愛好家の間では決して珍しい話ではないのです。
そのため、アウトレットモールやフリマアプリなどで「新品・未使用」として販売されているスニーカーを購入する際は、状態の良さだけでなく、必ず「いつ製造されたモデルなのか」を確認することが、無駄な出費を防ぐための自衛策となります。多くの場合、シュータン(ベロ)の裏側にあるサイズ表記タグに製造期間が記載されています。見た目の美しさに惑わされず、その靴が経てきた「時間」にも目を向けることが、賢いスニーカー選びの第一歩と言えるでしょう。
毎日履くとボロボロになるまでの期間

本来ならば「3年」は持つポテンシャルを秘めたスニーカーを、もし「毎日」休まずに履き続けたとしたら、その寿命は一体どうなってしまうのでしょうか。
私の過去の苦い失敗談や、多くのスニーカー愛好家の間での通説を照らし合わせると、残念ながらその寿命は劇的に短縮され、およそ「半年から1年程度」で物理的な限界を迎えることがほとんどです。使用環境によっては、半年も持たずに履けない状態になってしまうことさえあります。
【衝撃】履き方による寿命の格差
- 3足をローテーション(週2回着用): 約2年〜3年
- 同じ靴を毎日着用(週7回着用): 約6ヶ月〜1年未満
なぜ、ここまで極端に寿命が縮まってしまうのでしょうか。これを具体的な「走行距離」に換算してみると、その理由が恐ろしいほど明白になります。
例えば、通勤や通学、仕事中の移動などで1日に合計「1万歩(約7km)」歩くと仮定しましょう。これを毎日続けると、スニーカーにかかる負荷は以下のようになります。
| 経過期間 | 累積歩行距離 | スニーカーの状態目安 |
|---|---|---|
| 1ヶ月後 | 約 210 km | クッションの初期低下が始まる |
| 3ヶ月後 | 約 630 km | 一般的なランニングシューズの交換推奨距離に到達 |
| 6ヶ月後 | 約 1,260 km | メーカー想定の耐久限界を大幅に超過 |
多くのランニングシューズメーカーが推奨する交換目安距離が「500km〜800km」であることを考えると、毎日履き続けた場合、わずか3ヶ月〜4ヶ月でその距離に達してしまいます。つまり、半年履き続けた時点ですでに、メーカーが想定する耐久性能の限界を2倍近く超えて酷使している計算になるのです。
毎日履くという行為は、単に靴が汚れるだけではありません。1歩歩くごとの「屈曲」が数万回繰り返されることでアッパーの繊維や接着面が引き剥がされ、荒いアスファルトとの摩擦でアウトソールが急速に削り取られていきます。これに「汗による湿気」ダメージが加わることで、劣化スピードは加速度的に増していきます。
「高い靴=丈夫」という危険な誤解
よくある勘違いとして「高い良い靴を買ったから、毎日履いても長持ちするだろう」と考える方がいますが、これは非常に危険です。
むしろ高価なハイテクスニーカーやランニングシューズほど、パフォーマンスを最大化するために「極限までの軽量化」や「繊細なメッシュ素材」、「柔らかい高反発クッション」を採用している傾向があります。これらは適切な休息を与えることで真価を発揮する設計になっており、回復期間を与えずに連続使用すると、安価で頑丈なスニーカーよりも早く構造が破綻してしまうケースすらあります。
スニーカーの寿命を決める最大の要因は、「価格」や「ブランド」ではなく、間違いなく「履き方(休息の有無)」にあるのです。
加水分解が早まる湿気と汗の影響
毎日同じスニーカーを履くことが寿命を縮める決定的な要因、それは目に見えない「湿気の蓄積」にあります。日本の高温多湿な気候に加え、靴の中という密閉空間は、スニーカーにとってまさに過酷なサウナ状態です。
よく知られている事実ですが、人間の足の裏には背中の5〜10倍もの汗腺が集中しており、1日にコップ1杯分(約200ml)もの汗をかくと言われています。想像してみてください。毎日200mlの水分を靴の中に注ぎ込み、それが完全に乾ききる前に、翌日また上書きしていく様子を。
通常、スニーカーの厚いクッションやアッパーの奥深くまで染み込んだ汗が完全に乾燥するには、最低でも「24時間〜48時間」はかかるとされています。毎日履くということは、靴内部を常に湿度が極めて高い状態に保ち続けることを意味します。
湿気が引き起こす「負の連鎖」
- 加水分解の加速装置: ポリウレタンなどのソール素材は、水分と結びつくことで化学分解(加水分解)を起こします。「体温による熱」と「汗による水分」のセットは、この劣化反応を爆発的に早める触媒となってしまいます。
- 見えない部分の崩壊: 特に危険なのが、インソール(中敷き)の裏側です。ここは汗が重力で溜まりやすく、かつ空気に触れにくい場所です。気づかないうちに中底がボロボロに腐食していた、というケースも少なくありません。
さらに、湿気は物理的な劣化だけでなく、衛生面でも致命的なダメージを与えます。常にジメジメした環境は雑菌やカビにとっての楽園であり、一度カビが根付いてしまうと、繊維の奥に入り込んで完全な除去が困難になります。強烈なニオイが発生するだけでなく、カビが接着剤や素材そのものを分解・変質させ、靴の寿命を内側から食い尽くしてしまうのです。
クッション性の低下とミッドソールの寿命

スニーカーが「快適な履き心地」を提供できる最大の理由、それは足の裏に配置された「ミッドソール」と呼ばれるパーツの働きにあります。アッパー(布地)とアウトソール(ゴム底)の間に挟まれたこの厚い層は、いわばスニーカーの心臓部であり、EVAやポリウレタンといった発泡(スポンジ状)素材の中に閉じ込められた「無数の気泡」がバネの役割を果たしています。
歩行時、着地の衝撃は体重の約1.2倍〜1.5倍にもなると言われますが、ミッドソールはこの衝撃を一手に引き受け、気泡が圧縮されることで身体へのダメージを吸収しています。しかし、この素材には「一度潰れると、元の形状に戻るまでに時間がかかる」という重要な特性があります。
【48時間の法則】回復には休息が必要
潰れてしまったミッドソールの気泡が、ふっくらとした弾力性を完全に取り戻すには、一般的におよそ48時間(中2日)の休息が必要だと言われています。
毎日連続して履くということは、ミッドソールが前日の疲れ(圧縮)から回復しきれていない「半潰れ」の状態で、さらに新たな荷重をかけ続ける行為です。これを繰り返すと、素材は弾力を失い、ペシャンコに潰れたまま戻らなくなってしまいます。専門用語で「圧縮永久歪み(へたり)」と呼ばれる現象です。
非常に厄介なのは、この「へたり」は外見からはほとんど判別できないということです。アッパーが綺麗で、アウトソールの溝が残っていたとしても、内部のクッション材が死んでいるケースは多々あります。
「最近、この靴で歩くと足裏が痛くなる」「夕方になると膝や腰に響く」といった違和感は、スニーカーとしての「機能的寿命」が尽きている決定的なサインです。クッション性が失われた靴で歩き続けることは、コンクリートの上を裸足で叩きつけているのと変わらず、足底筋膜炎や疲労骨折などの障害リスクを高める原因にもなりかねません。
ランニングシューズの交換時期と距離
もしあなたがスニーカーをランニングやウォーキングなどの運動に使用している場合、期間だけでなく「走行距離」で寿命を管理するのが最も確実です。
大手スポーツメーカーのミズノやアシックスなどのデータに基づくと、一般的なランニングシューズの耐久距離は500km〜800kmが交換の目安とされています。
| シューズのタイプ | 推奨交換距離の目安 | 毎日5km使用した場合の期間 |
|---|---|---|
| クッション重視モデル | 約500km 〜 800km | 約3ヶ月 〜 5ヶ月 |
| スピード重視モデル | 約300km 〜 500km | 約2ヶ月 〜 3ヶ月 |
| 高耐久モデル | 約800km 〜 1000km | 約5ヶ月 〜 6ヶ月 |
毎日5kmのウォーキングやランニングを行う人の場合、わずか3ヶ月〜半年でこの距離に到達してしまいます。見た目にはアウトソールが残っていても、内部のクッション構造が破壊されていることが多く、そのまま走り続けると足底筋膜炎や膝の痛みを引き起こす原因になります。
メーカーも公式に推奨している通り、怪我を防ぐためにも距離を目安にした早めの交換を心がけることが重要です。(出典:ミズノ公式オンライン『ランニングシューズ寿命の見極め方と最適な替え時を解説』)
スニーカーを毎日履く人のための寿命対策
仕事の都合などで、どうしても毎日スニーカーを履かなければならない、あるいは特定のお気に入りをできるだけ長く履きたい。そんな方のために、寿命を最大限に延ばすための具体的なケア方法と、引き際の判断基準について解説します。日々のちょっとした意識で、スニーカーの持ちは劇的に変わります。
寿命を延ばすローテーションの効果
スニーカーの寿命を劇的に延ばすために、小手先のケアテクニックよりも圧倒的に効果があり、私が自信を持って断言できる唯一無二の最強メソッド。それが「ローテーション(履き回し)」です。
先ほどのセクションで、潰れたミッドソールの反発力が回復し、繊維の奥まで染み込んだ汗が完全に乾燥するには「約48時間」が必要だとお伝えしました。この「48時間」という数字こそが、スニーカー管理における黄金律です。つまり、スニーカーを長持ちさせるための正解は、「1日履いたら、最低でも2日間は休ませる(中2日空ける)」ことなのです。
これを完璧に実践するために必要なのが、メインで使用する「3足のスニーカー」です。3足を順番に履いていくことで、自然と各シューズに中2日の休息を与えることができます。
ローテーションがもたらす3つの奇跡
- 完全乾燥で劣化をブロック: 中2日空けることで靴内部の湿気をリセットし、雑菌の繁殖や加水分解のリスクを物理的に遮断します。
- クッションの「バネ」が復活: 圧縮された素材が元のふっくらした状態に戻る時間を確保でき、常に新品に近い最高の履き心地を維持できます。
- 型崩れの防止: アッパーの革や繊維も休息によって歪みが補正され、美しいシルエットを長く保てます。
ここで、多くの人が気になる「経済面」についても触れておきましょう。「一度に3足も買うとお金がかかる」と躊躇されるかもしれませんが、長期的な視点で見れば、実はローテーションの方が圧倒的にコストパフォーマンスが良いのです。
例えば、1足を毎日履きつぶすと半年でダメになりますが、3足をローテーションした場合、単純計算で1.5年持つ計算になります。しかし実際には、休息による延命効果がプラスされるため、2年〜3年以上良い状態で履き続けられるケースが多いのです。
| 履き方 | 寿命の目安 | 結果 |
|---|---|---|
| 1足を毎日着用 | 約半年 | すぐにボロボロになり、頻繁な買い替えが必要(コスパ悪い) |
| 3足をローテーション | 約2年〜3年 | 劣化スピードが遅くなり、長く愛用できる(コスパ最高) |
「3足も持っていない」という方は、まずは2足からでも構いません。1日おき(中1日)にするだけでも、毎日履くよりは遥かにマシです。お気に入りの靴を長く相棒にするために、ぜひ明日から「休ませる勇気」を持って接してあげてください。
長持ちさせる防水スプレーと乾燥
「たかがケア」と侮るなかれ。日常のほんの少しの手間が、スニーカーの寿命を年単位で左右します。ここでは、誰でも今日から実践できる、効果絶大の2大メンテナンス習慣「防水スプレー」と「乾燥管理」について解説します。
1. 防水スプレーで「最強のバリア」を作る
防水スプレーを「雨の日だけ使うもの」だと思っていませんか?実は、防水スプレーはスニーカーの寿命を延ばすための必須アイテムと言っても過言ではありません。
高品質な防水スプレー(特にフッ素系)を吹きかけることで、素材の表面に微細なコーティング膜が形成されます。これが「見えない盾」となり、以下の3つの脅威からスニーカーを守ってくれます。
防水スプレーの3大効果
- 加水分解の予防: 空気中の水分や湿気が素材内部に浸透するのを防ぎ、ソールの化学劣化を遅らせます。
- 防汚効果: 泥やホコリはもちろん、油汚れや飲みこぼしも弾くため、汚れが繊維の奥に入り込むのをブロックします。
- 洗いすぎの防止: 汚れが付きにくくなることで、「洗う回数」を減らせます。実はスニーカーにとって「水洗い」は大きな負担になるため、洗わずにきれいに保つことが長持ちの秘訣です。
【使い方のコツ】 新品を下ろす直前に全体に吹きかけるのがベストタイミングです。その後は、着用頻度にもよりますが「2週間に1回〜月に1回」を目安に定期的にスプレーし直すことで、バリア効果を持続させることができます。必ず屋外の風通しの良い場所で行いましょう。
2. 帰宅後の「即・下駄箱」は絶対NG!正しい乾燥術

家に帰って靴を脱いだら、すぐに下駄箱にしまっていませんか?これは、汗で湿ったスニーカーを密閉容器に閉じ込めるようなもので、雑菌とカビを培養しているのと変わりません。寿命を縮める自殺行為です。
脱いだ直後のスニーカーは、大量の湿気を含んでいます。以下の手順でしっかりと「湿気抜き」を行いましょう。
- ステップ1:風通しの良い日陰に置く 帰宅後は、玄関のたたき(土間)やベランダの日陰など、空気が循環する場所に置いてください。直射日光は変色やゴムの劣化を招くので厳禁です。
- ステップ2:乾燥アイテムを活用する ただ置くだけでなく、積極的に湿気を吸い取ることが重要です。
おすすめの除湿・乾燥グッズ
- 木製シューキーパー(シダー製推奨): 最もおすすめ!靴の型崩れを防ぎながら、木が湿気を吸い取り、消臭効果も発揮する一石三鳥のアイテムです。
- 靴用乾燥剤(シリカゲル): ドラッグストアや100円ショップでも購入可能です。ポンと入れるだけで強力に除湿してくれます。
- 丸めた新聞紙: 専用グッズがない場合は、新聞紙をふんわり丸めて詰めるだけでも十分な効果があります。ただし、入れっぱなしにすると湿気が戻るので、翌朝には取り出してください。
「脱いだら、乾かす」。このシンプルなルーティンを定着させるだけで、加水分解のリスクは激減し、嫌なニオイとも無縁のスニーカーライフを送ることができます。
かかとの破れや靴底の減りを確認
「見た目はそこまで汚れていないし、まだ履けるんじゃないか?」
愛着のあるスニーカーほど、手放すタイミングを見失いがちです。しかし、機能としての寿命が尽きた靴を履き続けることは、足への拷問に近い行為です。ここでは、一目でわかる「即・買い替えレベル」の物理的な劣化サインを解説します。
1. アウトソール(靴底)の溝と「第二層」の露出
最もわかりやすい寿命のサインは、地面と接するアウトソールの状態です。車のタイヤと同様に、スニーカーの底にも溝(トレッドパターン)があります。
- 溝が消えている(ツルツル): 雨の日にマンホールやタイルの上で滑りやすくなっていませんか?グリップ力が失われると、無意識のうちに転倒を防ごうとして体に余計な力が入り、疲れやすくなります。
- ミッドソールが露出している: これは「即廃棄」レベルの危険信号です。アウトソールのゴムが削れきって、その内側にある柔らかいスポンジ素材(ミッドソール)が顔を出していませんか?ここまで来るとクッション構造が破壊されており、衝撃吸収能力はほぼゼロです。膝や腰を痛める前に、感謝して手放しましょう。
2. かかとの内側(ライニング)の破れ
靴を脱いだとき、かかとが当たる内側の布地(ライニング)が擦り切れて破れていませんか?
この部分が破れると、靴の内部にある硬い芯材(ヒールカウンター)が剥き出しになります。これが直接かかとの皮膚に当たると、深刻な靴擦れや出血の原因になります。また、ライニングが破れる原因の多くは「サイズが合っていない(大きすぎる)」か「靴紐を解かずに無理やり脱ぎ履きしている」ことによる摩擦です。次の靴ではサイズ選びや履き方を見直すきっかけにもなります。
3. ヒールカウンター(かかとの芯)の崩壊
スニーカーの命とも言えるのが、かかとをしっかり固定する「ヒールカウンター」の強度です。かかと部分を指でつまんで押してみてください。
チェックポイント
- 適度な硬さがある: 正常です。足首を支える機能が残っています。
- ペコペコして芯がない・潰れている: 寿命です。
特にかかとを踏んで履く癖がある場合、この芯材が折れたり変形したりして、足首を支える機能が完全に失われていることが多いです。かかとが安定しない靴は、歩行時に足首がグラグラと不安定になり、捻挫のリスクを高めるだけでなく、O脚やX脚などの歪みを助長する原因にもなります。
これらのサインが一つでも見られたら、それはスニーカーからの「もう休ませてほしい」というSOSです。無理に延命治療(修理)をするよりも、新しい相棒を迎えることが、結果としてあなたの足の健康を守る最良の選択となります。
ソールの片減りや身体の痛みは危険

靴底の減り方にも、一度じっくりと目を向けてみてください。左右均等に減っていくのが理想ですが、外側だけ、あるいは内側だけが極端に削れている「片減り」を起こしていませんか?
実は、靴底の減り方は「あなたの歩き方の履歴書」そのものです。多少の癖は誰にでもありますが、アウトソールの片側だけが削れてミッドソールまで達しているような過度な片減りは、非常に危険なサインです。
1. 「傾いた靴」が招く負のスパイラル
片減りしたスニーカーを平らな床に置いて、後ろから眺めてみてください。靴自体が外側や内側に大きく傾いていませんか?
もし傾いているなら、その靴を履くことは「常に斜めの台の上でバランスを取りながら歩いている」のと同じことです。傾いた靴を履き続けることで、骨盤の歪みやO脚・X脚がさらに助長され、その結果また靴が偏って削れるという「最悪の悪循環(負のスパイラル)」に陥ります。こうなると、正しい姿勢で歩くことは不可能です。
2. 身体の痛みは「限界」の合図
また、スニーカーの寿命において、見た目以上に重視してほしいのが「履いた後の身体の感覚」です。
身体からのSOSサイン
もし、最近以下のような違和感を感じるようになったら、それは靴のクッション機能が完全に死んでいる可能性が高いです。
- 足の裏が痛い: 朝起きた時や歩き出しに踵(かかと)や土踏まずが痛む(足底筋膜炎の予兆かもしれません)。
- 膝や腰に響く: 以前は平気だった距離を歩いただけで、膝や腰に重だるさを感じる。
- すねが張る: クッション性がなくなり、着地の衝撃が筋肉に直接伝わっている証拠です。
「まだ履けるからもったいない」という気持ちは痛いほど分かります。しかし、機能が尽きた靴を無理に履き続けて膝や腰を痛め、通院することになってしまっては、靴代以上の治療費と時間がかかってしまいます。
足や身体に痛みや違和感が出始めたら、それはスニーカーが身を挺して伝えてくれた「役目は終わったよ」というメッセージです。健康な身体を守るためにも、勇気を持って引退させてあげてください。
※なお、靴を替えても痛みが引かない場合は、無理をせず整形外科などの専門医に相談することをおすすめします。
ソールスワップ修理や保管方法の工夫
最後に、スニーカー好きとして一歩踏み込んだ、少しマニアックですが知っておくと一生役立つ「究極の延命措置」と「保存テクニック」をご紹介します。
「アッパー(上の布地部分)は新品同様に綺麗なのに、ソールだけがボロボロに崩れてしまった」。特に90年代のハイテクスニーカーや、大切にしていた限定モデルでよく起こる悲劇ですが、これを諦めて捨ててしまうのはまだ早いかもしれません。
1. 奇跡の復活術「ソールスワップ(Sole Swap)」
ソールスワップとは、その名の通り「ソールの移植手術」のことです。加水分解してしまった古いソールを綺麗に取り除き、別の新しいスニーカー(ドナー)から取り外した健康なソールを移植、再接着するという、専門的な修理技術です。
これは一般的な街の靴修理屋さんでは対応できないことが多く、スニーカー修理(リペア・カスタム)の専門店に依頼するのが一般的です。
ソールスワップの検討基準
- 費用感: 一般的に15,000円〜25,000円程度かかります。さらに、移植用のソールを提供する「ドナー靴」を自分で用意する必要がある場合もあります。
- メリット: もう二度と手に入らないレアモデルや、思い出の詰まった一足を、実用レベルの強度で復活させることができます。
- 注意点: あくまで「修理・カスタム」扱いとなるため、オリジナルの価値(コレクション価値)とは異なるものになります。
費用はかかりますが、「どうしてもまた履きたい」という特別な一足がある場合は、プロに相談してみる価値は大いにあります。
2. コレクター直伝!劣化を遅らせる「密封保管術」

「今は履かないけれど、将来のために取っておきたい」「観賞用として劣化させたくない」。そんなストック用スニーカーを守るための、スニーカーヘッズ(愛好家)御用達の保管メソッドがあります。
加水分解の主犯である「湿気」と「酸素」を物理的に遮断するために、以下の手順で密封保管を行います。
- ステップ1:完全乾燥と汚れ落とし 汚れは変色の原因、湿気は加水分解の原因です。まずは完璧にきれいにし、カラカラに乾かします。
- ステップ2:三種の神器を入れる スニーカーをジップロック(またはスニーカー保存用パック)に入れ、以下の3つを同封します。
- 乾燥剤(シリカゲル): 湿気を吸い取るため。
- 黄ばみ防止剤(ミセスロイド等): 白いソールの変色を防ぐため(防虫剤成分が有効とされています)。
- 木製シューキーパー(あれば): 型崩れ防止のため。
- ステップ3:空気を抜いて密封 ストローで中の空気を吸い出すか、掃除機を使って真空に近い状態にし、ジッパーを閉めます。さらにこだわりたい人は、ヒートガンを使ってシュリンクフィルムでパッキングします。
注意:入れっぱなしはNG
密封すれば安心かというと、実はそうでもありません。ソール素材自体から発生するガスが袋の中に充満すると、逆に劣化を早めることがあります。半年に1回程度は袋を開けて新鮮な空気に入れ替え、乾燥剤を交換してあげるのがベストです。
手間はかかりますが、このひと手間が数年後のスニーカーの状態に天と地ほどの差を生みます。大切な宝物を守るために、ぜひチャレンジしてみてください。
スニーカーを毎日履くなら寿命を見極める
スニーカーは消耗品ですが、日々の扱い方ひとつで、その寿命は大きく変わります。毎日履けば半年〜1年で寿命が来てしまうのは、ある意味で自然なことですが、ローテーションや適切なケアを取り入れることで、お気に入りの靴と過ごす時間を2倍にも3倍にも延ばすことができます。
足元のコンディションは、全身の健康やその日のパフォーマンスに直結します。「ありがとう、お疲れ様」という気持ちを持って、適切なタイミングで新しい相棒にバトンタッチしてあげることも、スニーカーライフを楽しむ重要なポイントです。

