お気に入りのバッシュに黄ばみを見つけると、それだけで気分が落ち込んでしまいますよね。バッシュの黄ばみの原因は、実は一つではありません。クリーニングによる「洗剤残り」が原因の場合の対処法を知らないと、せっかく洗っても逆効果になることがあります。特にバッシュの洗い方で臭いを気にしすぎるあまり、アルカリ性の強力な洗剤を多く使い、すすぎが不十分になるケースは少なくありません。一方で、ソールのゴム素材自体の酸化による黄ばみは、専用ケミカル(黄ばみ取りリムーバー)を使う方法が効果的です。インターネット上では重曹やオキシ クリーン、あるいは歯磨き粉を使った裏技的な落とし方を試す人もいますが、素材との相性を見極めることが非常に重要です。特にバッシュの洗い方でメッシュ素材はデリケートなため注意が必要です。ナイキやアシックスなどブランドごと、またバッシュを洗ったらダメなケース(天然皮革など)も見極めなくてはなりません。この記事では、黄ばみの原因を徹底的に掘り下げ、それぞれの落とし方、そして最も重要な「黄ばみを予防し、きれいに保つための対策」まで詳しく解説します。
- バッシュが黄ばむ2つの主な原因
- 原因に応じた具体的な黄ばみの落とし方
- ナイキやメッシュ素材など洗い方の注意点
- 黄ばみを未然に防ぐための予防策と保管方法
バッシュの黄ばみ、原因別の落とし方

- バッシュの黄ばみの主な原因とは?
- 「洗剤残り」が原因の場合の対処法
- 専用ケミカル(黄ばみ取りリムーバー)を使う方法
- オキシ クリーンでの黄ばみ取り
- 重曹を使ったつけおき洗い
バッシュの黄ばみの主な原因とは?

バッシュの黄ばみには、大きく分けて2つの主な原因があります。この2つは発生メカニズムが全く異なるため、落とし方も当然変わってきます。まず、ご自身のバッシュの黄ばみがどちらのタイプなのかを見極めることが、白さを取り戻すための第一歩です。
一つ目は、「クリーニングによる洗剤残り」です。 これは、バッシュの臭いや汚れを落とそうとして使う靴用洗剤や一般的な洗濯用洗剤(多くは弱アルカリ性)が、繊維や素材の奥に残留してしまうことが原因です。この残留したアルカリ性成分が紫外線(日光)と化学反応を起こすことで、黄色く変色してしまいます。特に、しっかりすすいだつもりでも、メッシュの奥やインソールの下に洗剤が残りやすいのです。「念入りに洗って天日干ししたら、なぜか黄ばんだ」という場合、このケースが最も疑われます。
二つ目は、「素材自体の酸化・経年劣化」です。 これは、汚れとは無関係に、時間経過とともに素材そのものが化学変化を起こす現象です。バッシュのソール(特にクリアソールや白いゴム部分)や、ミッドソールに使われるEVA(エチレン酢酸ビニル)などの合成樹脂が、空気中の酸素、湿気、そして紫外線(太陽光や室内照明も含む)に長期間さらされることで発生します。素材に含まれる可塑剤(かそざい:素材を柔らかくする成分)が表面に染み出したり、紫外線によってポリマー(高分子)構造が破壊されたりすることで、素材そのものが黄ばんでいくのです。これは素材の「老化」であり、表面の汚れを落とすのとは根本的にアプローチが異なります。
黄ばみの見極め方チェックリスト
【洗剤残りが疑われるケース】
- 洗った(クリーニングした)直後に黄ばみが発生した。
- アッパーの布地部分(メッシュやキャンバス地)を中心に黄ばんでいる。
- 天日干し(直射日光)で乾かした。
【素材の酸化が疑われるケース】
- 洗っていない状態でも、徐々に黄ばんできた。
- ソール(ゴム部分)やクリアパーツが中心に黄ばんでいる。
- 長期間(半年~数年)保管していた、または頻繁に履いていた。
「洗剤残り」が原因の場合の対処法

洗濯後に発生した「洗剤残り」による黄ばみは、前述の通り、残留したアルカリ性の洗剤成分が紫外線と反応した結果です。この場合、化学的にアプローチするのが最も効果的です。アルカリ性の反対である「酸性」の物質を使って中和させることで、黄ばみを化学的に薄くすることができます。
家庭で安全に使える酸性の物質としては、「お酢(穀物酢など)」または「クエン酸」が最適です。
具体的な手順は以下の通りです。
- まず、黄ばみの原因であるアルカリ性洗剤を洗い流すため、バッシュ全体をぬるま湯で予洗いします。可能であれば、中性洗剤(おしゃれ着用洗剤など、液性表示を要確認)を使って軽く洗い直します。
- バケツにバッシュが浸かる程度の水(またはぬるま湯)を張り、そこへ「お酢」または「クエン酸」を溶かします。
お酢・クエン酸の目安量
- お酢の場合: 水1リットルに対し、約50ml?100ml(コップ半分程度)
- クエン酸の場合: 水1リットルに対し、小さじ1?2杯程度
※厳密な量である必要はありませんが、入れすぎると酸のニオイが残る原因になります。
- その溶液にバッシュを入れ、15分?30分程度つけ置きし、アルカリ成分を中和させます。
- つけ置きが終わったら、バッシュを取り出し、お酢やクエン酸の成分やニオイが残らないよう、流水で再度しっかりとすすぎ洗いをします。
- 最後に、タオルで水気をよく拭き取り、必ず風通しの良い「日陰」で干します。新たな黄ばみを防ぐため、直射日光は絶対に避けてください。
つけ置き時間の注意点
お酢やクエン酸水へのつけ置き時間が長すぎると、酸っぱいニオイが素材に染み付いて取れにくくなることがあります。また、一度水に溶け出た汚れが、再び生地に戻ってしまう「再汚染」を引き起こす可能性もあります。長くても1時間以上のつけ置きは避けるのが賢明です。
専用ケミカル(黄ばみ取りリムーバー)を使う方法

ソールの黄ばみなど、素材自体の「酸化(経年劣化)」によって引き起こされた黄ばみは、非常に頑固です。これは表面の汚れではないため、通常のクリーニングや、前述の中和作業では落とすことができません。
この化学変化してしまった黄ばみに対して、現在最も効果的なのが、スニーカーケア専用の「黄ばみ取りリムーバー(ケミカル製品)」を使用する方法です。
これらの製品の多くは、黄ばみの原因物質と化学反応を起こして色素を分解する成分(高濃度の過酸化水素など)を含んでいます。そして、その化学反応を促進させるための「触媒」として「紫外線(UVライトまたは直射日光)」を利用します。
専用ケミカルの使用手順
製品によって使用方法は異なりますが、一般的な手順は以下の通りです。作業は自己責任となり、素材を傷めるリスクもあるため、説明書を熟読の上、慎重に行ってください。
- クリーニング: まず、作業の前提として、バッシュ全体の汚れや油分をスニーカークリーナーでしっかり落とし、完全に乾燥させます。汚れが残っているとケミカルが均一に反応しません。
- マスキング(最重要): ケミカルは強力なため、アッパー部分(メッシュ、皮革、ニット素材など)に付着すると、変色や素材劣化の原因となります。黄ばみを落としたいソール部分以外を、マスキングテープや養生テープで隙間なく厳重に保護します。
- 塗布: 黄ばんだソール部分にのみ、付属の筆や安い絵筆など(使用後に固まるため使い捨て推奨)を使って、専用ケミカルを均一に塗り広げます。塗りムラがあると、仕上がりがマダラになるため注意深く作業してください。
- ラッピング: 塗布したケミカルが作業中に乾燥するのを防ぎ、黄ばみ部分に密着させ続けるため、スニーカー全体を食品用ラップでぴったりと覆います。
- 紫外線照射: ラップで覆ったバッシュを、「直射日光」に当てます。ケミカルの成分が紫外線と反応し、黄ばみを分解し始めます。製品指定の時間(天候によりますが、通常4?8時間程度)放置します。UVライト(ブラックライト)でも代用可能です。
- 洗い流し: 指定時間が経過したら、ラップを剥がします。バッシュにケミカル成分が一切残らないよう、水とブラシ(歯ブラシなど)で念入りに、徹底的に洗い流します。
- 乾燥: 最後に、日陰でしっかり乾燥させます。
1回で黄ばみが完全に取りきれない場合でも、この手順③?⑥を日を改めて繰り返す(2?3回程度)ことで、徐々に白さを取り戻せる可能性があります。ただし、素材へのダメージも蓄積されるため、やり過ぎには注意が必要です。
オキシ クリーンでの黄ばみ取り

酸素系漂白剤である「オキシ クリーン」も、バッシュの黄ばみ落としに有効な場合があります。オキシクリーンの主成分である過炭酸ナトリウムは、お湯に溶けると酸素の泡(活性酸素)と弱アルカリ性の炭酸ソーダに分解されます。この酸素の泡が汚れや黄ばみを分解・漂白する仕組みです。
特に、オキシクリーン公式サイトでも紹介されているように、皮脂汚れや黒ずみが原因の黄ばみに対して効果を発揮します。(※リンク先は上履きの例です)
ただし、これは主に「皮脂汚れ」や軽度の「洗剤残り」由来の黄ばみに対して効果が期待できるものであり、素材の酸化による頑固な黄ばみへの効果は、専用ケミカルに劣る場合があります。
【オキシクリーンを使ったつけ置き(オキシ漬け)の手順】
- バケツに40℃?60℃のお湯を用意します。オキシクリーンの酵素は、この温度帯で最も活性化します。熱湯(60℃以上)は素材を傷めたり、酵素の働きを弱めたりするためNGです。
- お湯4リットルに対し、オキシクリーン(日本版)をスプーン1杯程度溶かし、よく混ぜます。
- バッシュ(インソール・靴紐も外して一緒に入れる)を溶液に完全に沈め、20分?最大2時間程度つけ置きします。(※オキシクリーンの漂白効果は最大でも6時間程度で失われます)
- 時間が経ったら、ブラシ(歯ブラシなど)で黄ばみや汚れが気になる部分を優しくこすり洗いをします。
- 【最重要】オキシクリーンも「弱アルカリ性」です。そのため、すすぎ残しは新たな黄ばみの原因になります。洗剤成分が繊維の奥から完全に抜け切るまで、流水で徹底的にすすいでください。
- すすぎ後、タオルで水気をしっかり吸い取り、風通しの良い日陰で内部までしっかり乾燥させます。
オキシクリーンの注意点
オキシクリーンは漂白剤です。鮮やかな色のメッシュ素材や、プリント部分、皮革素材に使用すると、色落ちや変質を引き起こす可能性があります。使用する際は、まず目立たない部分で試してから全体に使用するか、白一色のキャンバス地やメッシュ部分に限定するなど、素材をよく確認してください。
重曹を使ったつけおき洗い

重曹(炭酸水素ナトリウム)も、黄ばみ落としの選択肢の一つとして広く知られています。重曹もオキシクリーン同様に「弱アルカリ性」であり、特に汗や皮脂汚れといった「酸性」の汚れを中和して落とす効果が期待できます。また、水に溶けにくい性質から、ペースト状にして使うと研磨剤としても機能します。
ただし、その性質(アルカリ性)を理解することが重要です。「洗剤残り」によるアルカリ性の黄ばみを中和する力はありません。(その場合は酸性のお酢やクエン酸が必要です)。重曹が有効なのは、あくまで「酸性の皮脂汚れ」が蓄積して黄ばんで見える場合です。
【重曹を使ったつけ置きの手順】
- 40℃程度のぬるま湯をバケツに用意します。
- お湯1リットルに対し、大さじ3杯程度(約45g)の重曹を入れ、よく溶かします。
- バッシュを入れ、1?2時間つけおきします。
- ブラシで黄ばみや汚れが気になる部分を優しくこすり洗いを行います。
- 重曹もアルカリ性のため、すすぎ残しがないよう、流水でしっかりと洗い流してください。
- 日陰で乾燥させます。
【原因別】黄ばみ落としの使い分け
・洗剤残りの黄ばみ(洗濯後に発生) → クエン酸 や お酢(酸性)で中和する
・皮脂汚れの黄ばみ(じわじわ蓄積) → 重曹 や オキシクリーン(アルカリ性)で分解する
・素材の酸化黄ばみ(ソールの経年劣化) → 専用ケミカル(酸化還元反応)で分解する
このように、原因を見極めて正しく使い分ける意識が大切です。
素材別注意点と正しいバッシュ黄ばみの落とし方

- バッシュの洗い方:メッシュ素材
- バッシュの洗い方:ナイキの場合
- バッシュの洗い方:臭い対策
- バッシュを洗ったらダメなケース
- 黄ばみを予防し、きれいに保つための対策
- 最適なバッシュの黄ばみの落とし方まとめ
バッシュの洗い方:メッシュ素材

現代のバッシュのアッパーに多用されるメッシュ素材やニット素材は、軽量で通気性が良い反面、非常にデリケートです。構造上、汚れや洗剤が繊維の奥に入り込みやすく、一度入り込むと抜けにくい特性があります。
メッシュ素材の黄ばみや汚れを落とす際に最も重要なのは、「洗剤成分を繊維の奥に残さないこと」に尽きます。
メッシュ素材を洗う場合、オキシクリーンや重曹でのつけ置き洗いも可能ですが、その後のすすぎを「これでもか」というほど徹底する必要があります。つけ置き後、中性洗剤を溶かしたぬるま湯と柔らかいブラシ(使い古しの歯ブラシなど)で優しくブラッシングし、汚れをかき出します。その後、洗剤成分が繊維の奥から完全に抜け切るまで、流水で念入りにすすぎましょう。
また、黄ばみ防止の観点からも、洗浄に使用する洗剤はアルカリ性ではなく「中性洗剤(おしゃれ着用洗剤など)」を使用することを強く推奨します。アルカリ性洗剤に比べ、素材への攻撃性が低く、万が一すすぎ残しがあっても黄ばみに直結しにくいメリットがあります。
乾かす際も、直射日光は絶対に避け、風通しの良い日陰で内部までしっかり乾かしてください。型崩れ防止と乾燥促進のため、内部に新聞紙やキッチンペーパーを詰めますが、新聞紙はインクが内側に移る可能性があるため、白いキッチンペーパーを数枚巻いてから詰めると安心です。
バッシュの洗い方:ナイキの場合

ナイキ(Nike)のバッシュには、Flyknit(フライニット)のような特殊なメッシュ素材、ReactフォームやZoom Airユニットといった高機能なクッショニングシステム、さらには複雑な接着技術が使われているモデルが多くあります。
これらのデリケートな素材と構造を守るため、Nikeの公式サイトでは、シューズを長持ちさせるためのクリーニング方法として、つけ置き洗い(水に沈めること)や洗濯機の使用を推奨していません。(参照:Nike SNKRS「シューズの洗い方:6つの簡単なステップ」)
水に長時間浸すことは、アッパー素材の変質や、ミッドソールとアッパーを固定している接着剤の劣化・剥がれを促進させてしまうリスクがあるためです。
【ナイキが推奨する基本的なクリーニング手順】
- まず、インソールとシューレースを外します。(これらは別途、中性洗剤で手洗い可能です)
- 乾いた柔らかいシューズブラシ(または歯ブラシ)を使用して、アッパーやソールの表面に付着した泥、砂、埃を優しく払い落とします。
- 低刺激の洗濯洗剤(中性洗剤)を、熱くない「ぬるま湯」で少量(数滴)溶かし、洗浄液を作ります。
- 柔らかい布やブラシに洗浄液を少量つけ、汚れた部分を優しくこすります。メッシュやニット素材は、目に沿って優しく拭き取るようにブラッシングします。ゴシゴシこすると毛羽立ちの原因になります。
- 【重要】 別の清潔な布を水で湿らせて固く絞り、洗剤成分と汚れを丁寧に「拭き取ります」。洗剤成分が残ることが黄ばみの最大の原因であるため、この「拭き取り」作業を、布の面を変えながら何度も繰り返します。
- 最後に、乾いたタオルで全体の水分を吸い取り、シューキーパーを入れるか新聞紙を詰めて形を整え、室温で自然乾燥(陰干し)させます。
ホワイトレザーのモデルには、重曹と水を同量混ぜたペーストや、メラミンスポンジ(水だけで汚れを落とすスポンジ)の使用も有効とされていますが、強くこすりすぎると表面のコーティングを傷めるため注意が必要です。
バッシュの洗い方:臭い対策

バッシュの強烈な臭いは、プレー中に大量にかく汗や、剥がれ落ちた皮脂(アカ)をエサにして、雑菌(バクテリア)が繁殖することによって発生します。雑菌が汗や皮脂を分解する際に、あの独特の嫌な臭気ガス(イソ吉草酸など)を発生させるのです。
したがって、臭い対策の基本は、雑菌のエサとなる「汚れの除去(洗浄)」と、雑菌の繁殖環境である「湿気の除去(乾燥)」の2点に尽きます。
まず、洗浄において黄ばみ対策と共通する点が多いです。臭いの温床となりやすいインソール(中敷き)は、バッシュの臭いの7割を占めるとも言われます。必ず本体から取り外し、中性洗剤を使ってブラシで念入りに洗い、しっかりすすいでください。
バッシュ本体もクリーニングしますが、この時、臭いを消そうとして洗剤を過剰に使うのは逆効果です。前述の通り、すすぎ残しが新たな黄ばみの原因となるだけでなく、残った洗剤成分が新たな雑菌のエサになることさえあります。洗剤は適量を守り、すすぎ(または拭き取り)を徹底してください。
洗浄後、臭い対策として最も重要なのが「完全な乾燥」です。少しでも湿気が残っている「生乾き」の状態は、雑菌が爆発的に繁殖する最高の環境です。シューキーパーを入れるか、新聞紙・キッチンペーパーを詰める(湿ったらこまめに交換する)などして内部の湿気を強制的に吸い取り、風通しの良い日陰で内部まで完璧に乾かし切りましょう。これが最大の臭い対策であり、黄ばみ予防にも直結します。
日々の臭いケアとローテーション
プレー後は、毎回必ずインソールを抜いてバッシュ本体とは別に立てかけ、湿気を逃がす習慣をつけましょう。靴用の除菌・消臭スプレーを内部に噴霧するのも効果的です。
また、理想はバッシュを2?3足用意し、「1日履いたら2日休ませる」というローテーションを組むことです。これにより、シューズ内部の湿気を完全に乾燥させる時間を確保でき、臭いの発生を劇的に抑えられます。
バッシュを洗ったらダメなケース

バッシュの黄ばみや汚れを落としたい一心で、良かれと思って洗ってしまい、逆にシューズの寿命を縮めたり、取り返しのつかないダメージを与えてしまったりするケースがあります。以下の素材や状況では、水洗い(特に丸洗いやつけ置き)は絶対に避けてください。
水洗いがNGな主なケース
- 天然皮革(本革)素材: 水は天然皮革の天敵です。水分を吸うと、革に含まれる油分が水分と一緒に抜け出してしまい、乾燥後に革が硬化します。これが「クラック(ひび割れ)」の原因となります。また、シミや型崩れの大きな原因にもなります。天然皮革の部分は、必ず専用のレザークリーナーや保湿クリームを使って拭き取るケアが基本です。
- スエード・ヌバック素材: 起毛素材であるスエードやヌバックは、水に非常に弱いです。水に濡れるとシミになりやすく、色落ちしたり、毛羽立ちが寝て固まってしまい、質感が元に戻らなくなります。必ずスエード専用の消しゴムやブラシ、専用クリーナー(泡タイプなど)を使用してください。
- 洗濯機の使用(厳禁): 絶対にNGです。洗濯機の強力な水流と回転は、バッシュにとって拷問に等しく、アッパー素材(特にメッシュやニット)の損傷、エアユニットなどソール技術の破損、接着剤の剥がれ、そして深刻な型崩れを引き起こします。また、シューズが洗濯槽内で暴れることで、洗濯機自体の故障原因にもなり得ます。
- 高温での乾燥(厳禁): ドライヤー、ヒーター、ストーブの温風、コインランドリーの乾燥機、直射日光による高温乾燥は、バッシュを構成する接着剤の劣化を急速に進め、ソール剥がれやアッパーの変形を招きます。特にEVA素材のミッドソールは熱に弱く、収縮したり変形したりするリスクがあります。乾燥は必ず「常温・日陰・風通しの良い場所」で行ってください。
黄ばみを予防し、きれいに保つための対策
ここまで黄ばみの落とし方を解説してきましたが、一度発生した黄ばみ(特に素材の酸化)を完全に元通りにするのは非常に困難です。そのため、バッシュをきれいに保つためには「発生させない予防」が何よりも重要になります。
クリーニング方法の見直し(黄ばみ予防)
黄ばみの最大の原因である「洗剤残り」と「紫外線」を避けることが、予防の絶対的な鉄則です。
- 洗剤は「中性洗剤」を選ぶ: 洗浄力は弱アルカリ性に劣る場合もありますが、中性洗剤は素材への攻撃性が低く、万が一すすぎ残しがあっても黄ばみに直結しにくいです。皮脂汚れがひどい場合以外は、中性洗剤でのクリーニングを基本にしましょう。
- 「すすぎ」と「拭き取り」を徹底する: 洗剤を使った後は、これ以上ないというほど徹底的にすすぐか、拭き取るかしてください。黄ばみの原因物質を素材に残さないことが重要です。
- 乾燥は必ず「風通しの良い日陰」で: 直射日光(天日干し)は絶対に避けてください。紫外線は黄ばみ反応の引き金(触媒)になります。必ず日陰で、風通しを良くして内部までしっかり乾かします。
保管方法の見直し(酸化予防)
素材の酸化を防ぐには、黄ばみの原因である「紫外線」と「湿気(空気中の酸素含む)」から物理的に守る必要があります。
- 購入時の箱には戻さない: 意外かもしれませんが、スニーカーを購入した際の箱や包み紙(特に再生紙)には、紙の製造過程で使われる「リグニン」という成分が含まれていることがあります。このリグニン自体が空気や紫外線に触れると黄変し、それがスニーカーに移る(色移り)原因となるため、長期保管には適しません。(参考:東京都クリーニング生活衛生協同組合「ナゼ衣類が黄ばむのか?」)
- 密封して空気を遮断する: 最も効果的なのは、スニーカー専用の収納パックや、大きめのジップロック(フリーザーバッグ)に入れ、できるだけ空気を抜いて密封することです。これにより酸素との接触を最小限に抑えられます。
- 乾燥剤(シリカゲル)を同封する: 密封する際に、靴用の乾燥剤(シリカゲル)を一緒に入れておくと、内部の湿気を吸収し、加水分解やカビの予防にもなります。
- 冷暗所で保管する: 紫外線(太陽光、蛍光灯)が一切当たらない、クローゼットやベッドの下などの冷暗所で保管してください。
コレクターの方は、UVカット機能のある専用のラッピングフィルム(KicksWrapなど)でバッシュを真空パックのように包んで保管しています。これは酸化予防として最も効果的な方法の一つですよ。
最適なバッシュの黄ばみの落とし方まとめ
バッシュの黄ばみは、見た目の問題だけでなく、シューズのコンディションを知るバロメーターでもあります。黄ばみを予防することは、シューズの寿命を延ばすことにも直結します。万が一黄ばんでしまった場合は、その原因が「洗剤残り」なのか「素材の酸化」なのかを冷静に見極め、それぞれに合った正しい対処法を選択することが重要です。
- バッシュの黄ばみには「洗剤残り」と「素材の酸化」の2種類がある
- 原因によって対処法が全く異なるため見極めが重要
- 洗濯後に黄ばんだ場合は「洗剤残り」の可能性が高い
- 洗剤残りの黄ばみはアルカリ性が原因
- 対処法はクエン酸やお酢(酸性)で中和すすぎを行う
- 素材の酸化(経年劣化)はソールのゴム部分などに発生しやすい
- 酸化による黄ばみは専用の黄ばみ取りリムーバー(ケミカル)が有効
- 専用ケミカルは紫外線(直射日光)と反応させて黄ばみを落とす
- オキシクリーン(酸素系漂白剤)は弱アルカリ性
- オキシクリーンは40℃から60℃のお湯で溶かして使用する
- 重曹も弱アルカリ性で皮脂汚れなど酸性の汚れに有効
- オキシクリーンや重曹を使った後は徹底的なすすぎが必須
- すすぎ残しは新たな黄ばみの原因になる
- メッシュ素材は中性洗剤で洗い、すすぎを徹底する
- ナイキはつけ置き洗いより中性洗剤での拭き洗いを推奨
- 臭い対策はインソールを別に洗い、本体をしっかり陰干しで乾燥させる
- 天然皮革やスエード素材は水洗い厳禁
- 洗濯機の使用は型崩れや破損の原因になるため絶対NG
- 黄ばみ予防は「中性洗剤の使用」「徹底したすすぎ」「日陰干し」が基本
- 保管時は紫外線と湿気を避けるため密封と乾燥剤が効果的

