スニーカー靴紐はオーバーラップとアンダーラップどっち?違いを解説

オーバー ラップ アンダー ラップ スニーカー

お気に入りのスニーカーを買ったとき、最初に悩むのが靴紐の通し方ではないでしょうか。特にオーバーラップとアンダーラップという言葉を聞いて、自分にはどっちが合っているのか、それぞれの違いやメリットについて詳しく知りたいと感じている方も多いはずです。実はこの通し方を変えるだけで、長時間の歩行でも足が痛くなりにくくなったり、コンバースのようなハイカットスニーカーの脱ぎ履きが劇的に楽になったりと、履き心地が大きく変わります。私自身もランニングシューズや普段履きのスニーカーで使い分けていますが、用途に合わせて選ぶことが本当に大切だと実感しています。

  • オーバーラップとアンダーラップの決定的な違いと特徴
  • 自分の足の形や用途に合った最適な結び方の選び方
  • 写真でわかりやすい正しい靴紐の通し方と手順
  • 足が痛いときやかかとが浮くときの悩み別対処法

スニーカーのオーバーラップとアンダーラップの違いを比較

まずは、誰もが迷ってしまう「オーバーラップ」と「アンダーラップ」の根本的な違いについて見ていきましょう。見た目の印象が変わるだけでなく、機能面でも全く異なる特徴を持っています。これを知るだけで、あなたのスニーカーライフがより快適になるはずです。

オーバーラップとアンダーラップはどっちにする?

結論から言うと、この2つの通し方に「絶対的な正解」はありません。重要なのは、あなたが「何を最優先するか」によって使い分けることです。どちらも機能的に優れた結び方ですが、得意とするシーンが全く異なるため、それぞれの特徴を理解して自分のライフスタイルや足の形にフィットさせるのが、快適なスニーカーライフへの近道です。

一言で表すなら、「ガッチリ固定のオーバーラップ」か、「快適リラックスのアンダーラップ」か、という選択になります。迷ったときは、以下の比較表を参考にしてみてください。

比較項目 オーバーラップ (Overlap) アンダーラップ (Underlap)
最大の特徴 強いホールド力と締まりの良さ 適度な遊びと調整のしやすさ
メリット 一度締めたら緩みにくく、足と靴が一体化する 圧迫感が少なく、脱ぎ履きが圧倒的に楽
おすすめのシーン 短距離走、激しいスポーツ、新品を馴染ませたい時 長距離ウォーキング、長時間の立ち仕事、旅行
向いている足 甲が低い人、足幅が狭い人 甲が高い人、足幅が広い人、むくみやすい人

ホールド力重視なら「オーバーラップ」

オーバーラップの通し方:靴紐を穴の外側(上)から内側(下)に向かって通している手元の様子。

「今日はしっかり歩くぞ」「ジムでトレーニングをする」といったアクティブな日は、迷わずオーバーラップを選びましょう。紐が緩みにくい構造のため、着地や蹴り出しの瞬間に靴の中で足がズレるのを防いでくれます。また、スニーカー好きの視点で言うと、「見た目のカッコよさ」も大きなポイント。紐がキュッと締まってハの字に並ぶため、スニーカーのシルエットが最も美しく見えるのがこのスタイルです。

快適さと脱ぎ履き重視なら「アンダーラップ」

アンダーラップの通し方:靴紐を穴の内側(下)から外側(上)に向かって通している手元の様子。

出典:コンバース公式サイト

一方で、「デスクワーク中心で座っている時間が長い」「居酒屋や試着室で靴を脱ぐ機会がある」という日は、アンダーラップが最強です。紐がスルスルと動くため、足がむくんで来ても勝手に微調整してくれるような感覚があり、夕方の足の疲れ方が全然違います。特に日本人は「甲高・幅広」の足を持つ人が多いため、「なんとなく靴がきつい」と感じている人の8割くらいは、アンダーラップに変えるだけで解決するとも言われています。

【豆知識】なぜ新品はオーバーラップなのか?

店頭に並んでいる新品のスニーカーのほとんどは、最初から「オーバーラップ」で結ばれています。これは、展示中に型崩れを防ぎ、見栄えを良くするため、そして試着した瞬間に「しっかりしたフィット感」を感じてもらうためです。メーカー推奨のデフォルトと思われがちですが、「買った後に自分の足に合わせて結び変える」のが、通の楽しみ方であり、長く快適に履くための秘訣ですよ。

緩みにくいメリットがあるオーバーラップの特徴

オーバーラップ最大の特徴は、何と言ってもその「強力なホールド力」にあります。手順としては靴紐を穴の「上(外側)」から入れて「下(内側)」へ通していくのですが、この単純な動作の中に緩まない秘密が隠されているんです。

紐を上から通して締め上げると、紐がハトメ(穴の金具)の縁に強く押し付けられ、食い込むような形になります。これにより物理的な摩擦抵抗が極めて大きくなり、一種のロックがかかった状態になるのです。そのため、歩行や運動による着地の衝撃が加わっても紐がスルスルと戻ってしまうことがなく、一度締めたベストなフィット感を長時間キープすることができます。

オーバーラップが活躍する具体的なシーン

  • 瞬発系スポーツ:バスケットボール、テニス、短距離走など、急なストップ&ゴーを繰り返す競技。靴と足の一体感が命となる場面では必須です。
  • 新品のスニーカー:まだアッパー(生地)が硬く足に馴染んでいない靴を、強制的に足の形に沿わせてフィットさせたい時。
  • サイズ調整:少しサイズが大きめの靴を履く際、足が靴の中で前後に遊ばないようにしっかりと固定したい時。

また、機能面だけでなく「見た目の美学」としてもオーバーラップは多くのファンに支持されています。紐が重なる部分に適度なボリュームと立体感が生まれ、正面から見た時にきれいな「ハの字(逆V字)」を描きやすくなります。

特にナイキの「エアジョーダン1」や「ダンク」、VANSの「オールドスクール」といったストリートの定番モデルでは、このオーバーラップが最も映えると言われています。ボリュームのあるスニーカーデザインに負けない存在感を出しつつ、全体をギュッと引き締まった印象に見せてくれるので、スニーカーの顔(デザイン)を一番かっこよく見せたいなら、まずはこの結び方が鉄板ですね。

甲高で痛い足にはアンダーラップがおすすめ

「気に入って買ったスニーカーなのに、長時間履いていると足の甲がジンジン痺れてくる…」そんな経験をしたことはありませんか?その原因、もしかすると靴のサイズ選びではなく、紐の通し方による「締めすぎ」にあるかもしれません。

そこで試してほしいのが、靴紐を穴の「下(内側)」から「上(外側)」へ通していくアンダーラップです。この結び方は、オーバーラップとは真逆の性質を持っており、紐が穴の縁でロックされにくく、スルスルとスムーズに動くのが特徴です。この「遊び」があるおかげで、足の動きや形に合わせて紐全体が伸縮し、まるでサスペンションのように圧力を分散してくれるのです。

私が特にこの結び方を強くおすすめしたいのは、典型的な「甲高(こうだか)」や「幅広」の足を持つ方です。実は日本人の多くはこの足型に当てはまるのですが、ナイキやプーマといった欧米ブランドのスニーカーは基本的に「幅が狭く甲が低い」設計になっています。そのため、標準のオーバーラップのままだと、どうしても足の甲の一点に強い圧力がかかり続けてしまうのです。

アンダーラップが足に優しい科学的な理由

アンダーラップは紐の交差ポイントが穴の「外側(上側)」に来る構造です。これにより、紐が直接足の甲を押さえつけるのを防ぎ、靴の内部(アッパーと足の間)にわずかな空間的ゆとりが生まれます。結果として、足の甲を通る血管や神経への直接的な圧迫感が軽減され、長時間履いていても痺れや痛み、うっ血が起きにくくなるのです。(出典:アシックス公式『スポーツシューズのシューレース(靴ヒモ)の通し方』

また、人間の足は朝と夕方で大きさが変わります。夕方になると重力で水分が下がり、足がむくんで体積が増えるためです。「朝はぴったりだったのに、帰り道は靴がきつい」というのはこれが原因ですが、アンダーラップなら大丈夫。足がむくんで膨らんでも、紐がスムーズに動いて自動的に緩んでくれるため、一日中快適なフィット感を維持しやすいんです。普段履きでリラックスしたい時は、ぜひこの「足に優しい結び方」を選んでみてください。

コンバースやハイカットにはどっちが合う?

ハイカットスニーカーを着用した日本人女性の足元。

コンバースのオールスターやVANSのSK8-HIなど、ハイカットスニーカーはそのシルエットの美しさが魅力ですが、同時に「脱ぎ履きがとんでもなく面倒」という致命的な弱点を持っていますよね。急いでいる朝に紐が緩まなくてイライラしたり、飲み会で座敷席に上がる時に玄関でもたついて気まずい思いをしたり……。そんな経験から、せっかく買ったハイカットを靴箱に眠らせてしまっている方もいるのではないでしょうか。

そんな「ハイカット脱ぎ履き問題」を抱えている方には、迷わず「アンダーラップ」を強くおすすめします。もはやハイカットのためにある結び方と言っても過言ではありません。

なぜなら、アンダーラップは紐の滑りが圧倒的に良いためです。履き口の紐を軽く引っ張るだけで、下段の紐まで連動してスルスルと緩み、アコーディオンのように履き口をガバッと大きく広げることができます。オーバーラップだと一段ずつ指で緩めていかなければなりませんが、アンダーラップならワンアクションで足を入れるスペースを確保できるんです。私自身、ハイカットのスニーカーは全てアンダーラップに統一していますが、靴紐と格闘する時間がゼロになり、サンダル感覚とは言いませんが、それに近いくらいストレスフリーになりました。

クラシックな見た目との相性も抜群

機能面だけでなく、実はデザイン的な相性も最高なんです。コンバースのようなキャンバス素材のクラシックなスニーカーにアンダーラップを合わせると、紐が「交互のV字」のように並び、非常にスッキリとした上品な印象に仕上がります。オーバーラップのスポーティな「ハの字」に比べて、少し落ち着いた大人っぽい雰囲気になるため、古着スタイルやきれいめなコーディネートに合わせたい方にも支持されています。

もし、デザインは好きなのに「脱ぐのが面倒だから」という理由で敬遠しているハイカットスニーカーがあるなら、ぜひ一度アンダーラップに変えてみてください。「えっ、こんなに楽だったの?」と感動して、その靴の出番が急増すること間違いなしですよ。

マラソンと短距離走での使い分けのポイント

ランニングにおいて、シューズの性能を100%引き出すための最後のピースが「靴紐の通し方」です。実は、走る距離や強度によって足の状態は刻一刻と変化するため、目的に合わない結び方をしていると、マメができたり、爪が内出血して黒くなったり(爪下血腫)、最悪の場合は痛くて走れなくなるといったトラブルに直結します。

自分の走るスタイルに合わせて、戦略的に結び方を変えることが重要です。それぞれの推奨シーンと理由を整理しました。

種目・シーン おすすめの結び方 機能的なメリット
短距離・スプリント インターバル走 オーバーラップ
  • 着地と蹴り出しの強い衝撃に耐える
  • 靴内での足のズレ(パワーロス)を防ぐ
  • 地面への力伝達効率が最大化する
フルマラソン LSD・ジョグ アンダーラップ
  • 長時間の「足のむくみ」に対応できる
  • 甲への圧迫を逃がし、血流を妨げない
  • 長距離走行特有の痺れや痛みを防ぐ

【短距離・瞬発系】オーバーラップで「人靴一体」を目指す

50mダッシュやインターバルトレーニングのように、爆発的なパワーで地面を蹴るシーンでは「オーバーラップ」一択と言っても過言ではありません。

強い負荷がかかる場面では、靴の中で足が数ミリ動くだけでも大きなパワーロスになりますし、その摩擦熱が「マメ」の原因になります。オーバーラップで甲を上からガッチリと押さえ込むことで、足とシューズが一体化し、自分の力をダイレクトに地面に伝えることができるようになります。

【長距離・持久系】アンダーラップで「後半の失速」を防ぐ

逆に、ハーフマラソンやフルマラソンのような長距離走では、「アンダーラップ」が強力な武器になります。

長時間走り続けると、重力と血流の影響で足は必ずむくんで大きくなります。また、疲労により足裏のアーチが落ちてくるため、足の甲の高さや幅も変化します。もしオーバーラップでガチガチに固定していると、この変化に対応できず、レース後半に締め付けが「拷問」のような痛みに変わってしまうのです。

アンダーラップなら、足がむくんで膨張しても紐がスルスルと動いて圧力を逃がしてくれるため、ゴールまで快適な血流を維持しやすく、結果としてパフォーマンスの低下を防ぐことができます。「練習では調子が良いのに、レース後半で足が痛くなる」という方は、ぜひ一度試してみてください。

スニーカーのオーバーラップとアンダーラップの通し方

それぞれの特徴がわかったところで、次は実際に手元のスニーカーで通してみましょう。ここでは基本の手順に加え、ちょっとしたコツや悩み別のテクニックもご紹介します。画像を見ながら一緒にやってみてくださいね。

基本となる正しい靴紐の通し方とやり方

それぞれの特徴を理解したところで、実際に手元のスニーカーで通してみましょう。「たかが紐通し」と思うかもしれませんが、手順を間違えると左右で締め付けが均等にならなかったり、見た目が歪んでしまったりします。慣れてしまえばとても簡単なので、ぜひこの機会に正しい手順をマスターしてください。

きれいに仕上げる最大のコツは、「途中でねじれさせないこと」「左右の重なり順(右が上か左が上か)を統一すること」です。これだけで、プロが結んだような美しい仕上がりになりますよ。

【手順1】オーバーラップの通し方(上から下へ)

まずは、緩みにくくホールド感抜群の「オーバーラップ」からです。紐が上から被さるように通っていくので、ボリューム感が出てスニーカーらしい表情になります。

通し方のステップ

  1. スタート:つま先側の一番最初の穴(左右の1段目)に対し、紐を「上(外側)」から通します。
  2. 長さ調整:左右の紐を引っ張り、先端の高さをピタリと揃えます。ここで長さが違うと、最後の蝶々結びのバランスが悪くなるので丁寧に合わせましょう。
  3. クロス:片方の紐を、反対側の2段目の穴へ「上(外側)」から通します。もう片方も同様に上から通してクロスさせます。
  4. 繰り返し:常に「上から入れて下に出す」という動作を繰り返して、足首側の穴まで進めていきます。

ポイントは、平紐(きしめんのような平たい紐)の場合、通すたびに指で紐をなぞって「ねじれ」を取ることです。このひと手間で、仕上がりの高級感がグッと増します。

【手順2】アンダーラップの通し方(下から上へ)

次は、脱ぎ履きが楽で足に優しい「アンダーラップ」です。紐が穴の下から湧き出るように見えるため、見た目がスッキリとして上品に仕上がります。

通し方のステップ

  1. スタート:つま先側の一番最初の穴(左右の1段目)に対し、紐を「下(内側)」から通します。
  2. 長さ調整:オーバーラップ同様、ここで左右の長さをしっかり揃えます。
  3. クロス:片方の紐を、反対側の2段目の穴へ「下(内側)」から通します。下からすくい上げるようなイメージです。
  4. 繰り返し:常に「下から入れて上に出す」という動作を繰り返して進めていきます。

アンダーラップの場合、紐が穴の上をまたぐ形になるため、左右の紐が交差する部分のデザイン(V字の連続)がきれいに見えます。コンバースなどは特にこのV字が美しく映えますよ。

【重要】最後の穴(トップホール)だけは共通ルール!

ここが一番のポイントです。オーバーラップでもアンダーラップでも、足首に一番近い「最後の穴」だけは、必ず「下(内側)から上(外側)」に通してください。

もし最後の穴を上から通してしまうと、紐が内側に向かって出てくることになり、蝶々結びをした時に結び目が足首に当たって痛くなったり、リボンがきれいに広がらなかったりします。最後の穴を下から通すことで、紐が外側に広がり、最高に結びやすく、かつ美しい蝶々結びが決まります。

おしゃれに見せる紐の長さ調整のコツ

「気に入った色のシューレースを買ったのに、通してみたら長すぎてリボンが巨大になってしまった…」あるいは「短すぎて蝶々結びがギリギリ…」なんて経験、スニーカー好きなら一度はあるはずです。紐の長さを変えるために買い直すのも手ですが、実は「通し方を変える」だけで、紐の余り具合を数センチ単位で調整できることをご存知でしょうか。

オーバーラップとアンダーラップでは、紐が通るルートの距離が微妙に異なります。この性質を利用すれば、手持ちの紐のままベストなバランスに近づけることが可能です。

通し方 紐の消費量 長さ調整の効果
オーバーラップ 多い(距離が長い) 紐が表側を大きく横切り、さらに穴の外側を回り込むため距離を使います。 →「紐が長すぎて困る時」におすすめ。余りを短くできます。
アンダーラップ 少ない(距離が短い) 穴の下から最短距離でクロスするため、紐の消費が最小限で済みます。 →「紐が短くて結びにくい時」におすすめ。余りを長く確保できます。

私の場合、ローカットのスニーカー(通常120cm推奨)に、あえてハイカット用(140cm)の紐を通すことがありますが、その時は必ずオーバーラップにして紐を消費させ、余りがダラしなくならないように調整しています。逆に、足幅が広くて紐がギリギリになってしまう靴は、アンダーラップにして結び目の長さを稼いでいます。

【目安】スニーカーの穴数と紐の長さ

一般的に、紐の長さは「穴(アイレット)の数」で決まります。調整の参考にしてください。

  • 5〜6個(ローカット):約120cm
  • 7〜8個(ハイカット):約140cm〜150cm

※メーカーやデザインによって誤差があるので、基本は「元々付いていた紐」の長さを測るのが確実です。

かかとが浮くならヒールロックで固定する

スニーカーの一番上の補助穴を使って小さな輪っかを作っている手元の拡大図。

歩くたびにカカトが「スポッ、スポッ」と浮いてしまう現象。これ、地味にストレスですし、摩擦で靴擦れを起こす原因にもなりますよね。特に「足のサイズ(長さ)は合っているのに、カカトが細くて抜けてしまう」という悩みを持つ方に、ぜひ試していただきたいのが「ヒールロック(ダブルアイレット結び)」という裏技です。

多くのスニーカーには、一番上の紐穴のさらに奥に、もう一つ「謎の穴」が開いていますよね?「これ、何のためにあるの?」と不思議に思っていた方も多いはず。実はこれこそが、カカトを強力に固定するための「ダブルアイレット」なのです。

ヒールロックのやり方手順

やり方は少し特殊でパズルみたいですが、一度覚えれば一生使えるテクニックです。

  1. 一番上の通常の穴まで紐を通したら、クロスさせずに、「同じ側の奥にある予備の穴」に上から紐を通します。
  2. すると、穴と穴の間に小さな「輪っか」ができます。左右両方にこの輪っかを作ります。
  3. 次に、右の紐の先端を「左側の輪っか」に、左の紐の先端を「右側の輪っか」に通します(ここでクロスさせます)。
  4. 最後に、紐を真横(または真後ろ)にギュッと引っ張ります。すると輪っかが締まり、足首周りが巾着袋のようにロックされます。

ここが凄い!ヒールロックの効果

この結び方をすると、紐の締まる力が「下方向」だけでなく「足首を後ろに押し付ける方向」にも働きます。これにより、カカトがヒールカップ(靴の踵部分)にピタッと吸い付き、どんなに激しく動いてもカカトが浮かなくなります。ランニング中のマメ防止にも非常に効果的ですよ。(出典:ミズノ公式オンライン『ランニングシューズの靴紐の結び方』

唯一のデメリットは、脱ぎ履きが少し面倒になることですが、その手間を補って余りあるほどのフィット感が得られます。「サイズ選びを間違えたかな?」と諦める前に、ぜひこの魔法の結び方を試してみてください。

すぐにほどけない結び方のテクニック

解けにくい靴紐の結び方:左右の紐で輪を作り、素早く結ぶイアンノットを実践している手元の様子。

きれいに靴紐を結んだはずなのに、歩いている途中で「あ、ほどけた…」と立ち止まること、ありますよね。人混みの中や荷物を持っている時だと本当にストレスですし、踏んで転倒する危険もあります。特に最近のランニングシューズに多い「ナイロン系の丸紐」や、コーティングされた「平紐」は、摩擦係数が低く、普通の蝶々結びだと振動ですぐに緩んでしまうのです。

でも、安心してください。紐そのものを変えなくても、「結び目を工夫する」だけで、その悩みは嘘のように解決します。ここでは、プロのアスリートも実践している「絶対にほどけない魔法の結び方」を2つご紹介します。

1. 世界最速で最強!「イアンノット(Ian Knot)」

まず覚えていただきたいのが、この「イアンノット」。考案者のイアン・フィッゲン氏の名を冠した結び方で、「世界で一番速く結べて、かつ強固にほどけない」としてギネスブックにも載るほど有名なテクニックです。

イアンノットのやり方イメージ

通常の蝶々結びとは手順が全く異なります。慣れれば2秒で完了します。

  1. 最初の「ひと結び(交差させて締める)」まではいつも通り行います。
  2. 左右の紐でそれぞれ「輪っか」を作ります。(右は手前に、左は奥に紐を垂らすように持つのがコツ)
  3. その2つの輪っかを重ね合わせるように近づけ、お互いの輪っかの中へ紐をくぐらせます。
  4. そのまま左右にギュッと引っ張れば完成です。

構造上、結び目同士が互いにロックし合う形になるため、走ったりジャンプしたりしてもビクともしません。それなのに、解くときは紐の先端(アグレット)を引っ張るだけで「スルッ」と一瞬で解けるんです。まさにスニーカーのためにあるような結び方です。

2. 革靴由来の美しさと強度「ベルルッティ結び」

もう一つは、フランスの高級紳士靴ブランド「ベルルッティ」が推奨している結び方です。元々は革靴の蝋引き紐がほどけないように考案されたものですが、スニーカーの丸紐とも相性抜群です。

こちらは通常の蝶々結びを強化したバージョンとお考えください。ポイントは「2回巻きつける」ことです。

  • ステップ1:最初のひと結びをする際、紐を1回ではなく2回巻きつけてから締めます。これだけで土台がガッチリ固定されます。
  • ステップ2:次に蝶々結びの輪を作る工程でも、輪の中に紐を2回通してから引き締めます。

少し結び目が大きくなりますが、複雑に絡み合うため、摩擦力が倍増して物理的にほどけなくなります。「今日は絶対に紐を気にしたくない!」というフェスや長時間の登山の時などは、このベルルッティ結びにしておけば間違いありません。

基本の通し方を「緩みにくいオーバーラップ」にして、最後の仕上げに「イアンノット」を組み合わせれば、まさに鬼に金棒。靴紐ストレスから完全に解放された快適な一日を過ごせますよ。

スニーカーのオーバーラップとアンダーラップのまとめ

今回は「スニーカーのオーバーラップとアンダーラップ」について、その違いや使い分けを深掘りしてきました。たかが靴紐、されど靴紐。通し方ひとつで、履き心地は全く別物になります。

  • オーバーラップ:ホールド力重視。短距離走や安定感を求める人向け。新品のスニーカーにおすすめ。
  • アンダーラップ:快適性重視。甲高・幅広の人や、長時間の着用向け。コンバースなどのハイカットにおすすめ。

「最近足が疲れるな」と感じているならアンダーラップに、「もっとフィット感が欲しいな」と思うならオーバーラップに。自分の足と相談しながら、ベストな通し方を見つけてみてください。ぜひ今すぐ、玄関にあるスニーカーで試してみてくださいね!

タイトルとURLをコピーしました