スニーカーの「チップ垂らし」、なぜ人気なのかご存知ですか?AJ1(エアジョーダン1)のようなハイカットスニーカーだけでなく、ローカットモデルでも見かけるこのスタイルは、スニーカーの靴紐を結ばないやり方の一つとして定番になっています。しかし、具体的なチップ垂らしのやり方や、そのメリット、デメリットについて詳しく知らない方も多いかもしれません。
また、チップ垂らしがダサいと感じる人がいる理由や、靴紐が不必要に長い場合の対処法、特にハイカット チップ垂らしとローカットモデルでのスタイリングの違いなど、気になる点は多いでしょう。この記事では、スニーカーヘッズなら一度は試したい、AJ1のチップ垂らしのやり方を含め、基本から応用、さらにはスタイルを維持するコツまで詳しく解説します。
- チップ垂らしの基本と人気の理由
- 緩みにくいチップ垂らしの具体的な手順
- ローカットとハイカットでのやり方の違い
- 結ばないスタイルを実現する専用アイテム
スニーカーのチップ垂らしやり方の基本と特徴
- チップ垂らしはなぜ人気?スタイル解説
- チップ垂らしのメリットを解説
- 知っておきたいチップ垂らしのデメリット
- チップ垂らしはダサいと思われる?
- チップ垂らしが長い時の調整方法
チップ垂らしはなぜ人気?スタイル解説
「チップ垂らし」とは、スニーカーの靴紐(シューレース)を結ばず、先端の硬い部分であるチップ(アグレット)をそのまま両側に垂らしておくスタイリング方法を指します。このスタイルが多くのスニーカー愛好家から支持される主な理由は、足元に「動き」と「抜け感(リラックスした雰囲気)」を同時に演出できる点にあります。
通常の蝶々結びが持つ機能的できちんとした印象とは対照的に、あえて結ばないことで、スニーカーが持つ本来のカジュアルさや、ヒップホップカルチャーに代表されるストリート感を意図的に強調できます。
特に、ナイキ エアジョーダン1(AJ1)のようなボリュームのあるアイコニックなスニーカーと組み合わせることで、シューズの主張をより強くし、画一的ではない、他とは違ったおしゃれ感を出すスタイルとして人気を集めています。
カルチャーとの結びつき
このスタイルは、特定のファッションアイコンやアーティストが実践したことでも注目を集めました。結ばないという行為自体が、既存のルールにとらわれない自己表現の一つとして認識され、スニーカーカルチャーの一部として定着していった側面もあります。
このように、チップ垂らしは単なる履き方ではなく、スニーカーのデザイン性を最大限に活かしつつ、個性を表現するためのファッションカスタムの一つとして確立されています。
チップ垂らしのメリットを解説
チップ垂らしを実践するメリットは、単におしゃれに見えるという点だけではありません。主に「スタイリングの向上」と「実用的な手軽さ」の2つの側面があります。
1. スタイリングの向上
最大のメリットは、やはりその独特のスタイルにあります。歩くたびに靴紐の先端が適度に揺れるため、足元に視線が集まりやすく、コーディネート全体のアクセントとして機能します。これにより、スニーカーの存在感を際立たせたい場合や、ルーズフィットなパンツと合わせたストリートファッションで効果を発揮します。
さらに、靴紐の結び目がなくなることで、シュータン(ベロ)部分のデザインやブランドロゴが隠れることなく、スッキリと見えるようになります。スニーカー本来のデザインを余すところなく見せられるのは、コレクターにとっても大きな魅力です。
2. 脱ぎ履きの手軽さ
これは通し方や調整次第な側面もありますが、一度チップ垂らしのセッティングを完了すれば、スニーカーを脱ぎ履きするたびに紐を結び直す手間が省ける場合があります。特にハイカットスニーカーなど、元々脱ぎ履きに手間がかかるモデルにおいて、スリッポンのように手軽に足入れできるようになる点は、日常生活における隠れたメリットと言えるでしょう。
毎回きつく結び直すのが面倒だと感じていた方にとって、この手軽さは非常に魅力的です。ただし、この手軽さは後述する「緩みやすさ」と表裏一体でもあります。
知っておきたいチップ垂らしのデメリット
多くのメリットがある一方で、チップ垂らしにはいくつかの明確なデメリットや注意点が存在します。これらを理解せずに実践すると、快適性や安全性を損なう可能性があります。
最も大きなデメリットは、靴紐が緩みやすく、フィット感が著しく低下することです。主流となっている、単純に一番上まで通して余りを垂らすだけの方法では、靴紐が物理的に固定されていないため、歩行時の振動や足の動きによって徐々に緩んできます。
その結果、スニーカーの中で足が前後左右にズレてしまい、歩きにくさを感じたり、場合によっては靴擦れの原因になったりします。緩むたびに紐を引き締め直す必要があり、これが「結び直す」こと以上の手間だと感じる方も少なくありません。
フィット感の低下と安全性への影響
チップ垂らしは構造上、靴紐を強く締めて足全体をホールドするスタイルではありません。そのため、ランニングやバスケットボールなどのスポーツ、あるいは長距離のウォーキングやハイキングといったシーンには絶対に向いていません。
例えば、アシックスのような専門メーカーは、パフォーマンス向上と怪我防止のために、足の状態に合わせた靴紐の結び方を推奨しています。(参照:アシックス公式サイト「ランニングシューズの紐の結び方」)
チップ垂らしは、あくまでもファッション性を最優先する履き方であり、機能性や安全性とはトレードオフの関係にあることを強く認識しておく必要があります。
チップ垂らしはダサいと思われる?
「チップ垂らしはダサい」という意見も一部で見られます。これは個人の好みも大きいですが、多くの場合、「だらしなさ」や「TPO(時・場所・場合)のミスマッチ」が原因となっている可能性が高いです。
例えば、以下のようなケースは「ダサい」と見なされがちです。
- 紐が不必要に長すぎる: 地面を引きずっていたり、だらんと伸び切っている状態。
- 紐が汚れている: 清潔感がなく、手入れを怠っている印象を与える。
- 全体のバランスが悪い: 例えば、きれいめなセットアップやフォーマルな服装に、あえてチップ垂らしを合わせるのは高度なテクニックであり、一歩間違えると単に「だらしない人」に見えてしまいます。
要するに、「計算された抜け感」ではなく、「単なる手抜き」に見えてしまうとダサいという評価につながるわけです。
逆に言えば、靴紐の長さを適切に調整し、清潔感を保ち、全体のコーディネート(特にストリート系やカジュアルスタイル)と統一感を持たせれば、洗練された「こなれ感」や「抜け感」としておしゃれに見せることが可能です。ダサいと感じられるかどうかは、本人のスタイリングやバランス感覚に大きく左右されると言えます。
チップ垂らしが長い時の調整方法
いざチップ垂らしを試してみた際に、靴紐が地面に引きずってしまうほど長くなってしまうケースは少なくありません。付属のシューレースは、基本的に「しっかりと結ぶ」ことを前提とした長さになっているためです。この場合の対処法を解説します。
最も確実かつ、見た目も美しく仕上がる方法は、チップ垂らしに適した「短いシューレース」に交換することです。
スニーカーのモデルやシューレースホールの数によって最適な長さは異なりますが、一般的な目安として以下の表を参考にしてください。
スニーカーのタイプ | 一般的な穴の数(片側) | 推奨される長さ(目安) |
---|---|---|
ローカット | 6〜7個 | 120cm |
ハイカット | 8〜9個 | 140cm 〜 160cm |
※上記はあくまで目安です。通し方(アンダーラップ/オーバーラップ)や、好みの垂らし具合(短め/長め)によって最適な長さは変わります。
特にハイカットの場合、140cmを選ぶと垂らし部分が短めになりスッキリした印象に、160cmを選ぶと適度な余裕を持った垂らし具合になります。元々付属している紐が170cm以上ある場合は、これらの長さを目安に別途用意するのがおすすめです。
補足:通し方で調整する(非推奨)
もし手元に交換用の紐がなく、どうしても今ある紐で調整したい場合は、靴紐を通していく際に全体を「緩め」に通していくことで、外に出る紐の長さを内部で消費し、最終的に垂らす部分を短く調整する方法もあります。ただし、この方法は前述のデメリットである「フィット感の低下」をさらに助長するため、あまり推奨はできません。
実践!スニーカーのチップ垂らしやり方詳細
- スニーカー靴紐を結ばないやり方(アイテム)
- 基本的なチップ垂らしのやり方
- AJ1でのチップ垂らしのやり方
- ハイカットでのチップ垂らしのコツ
- チップ垂らしをローカットで行う場合
- スニーカーのチップ垂らしやり方まとめ
スニーカー靴紐を結ばないやり方(アイテム)
チップ垂らしは、あくまで「靴紐の通し方」によるファッションスタイルの一つです。一方で、そもそも「靴紐を結ばない」状態を利便性の観点から実現したい場合は、専用のアイテムを活用する方法が非常に有効です。
これらは、スニーカーの脱ぎ履きを格段に楽にしつつ、見た目をスッキリさせたい場合に最適です。主な種類としては以下のようなものがあります。
1. 伸縮素材(ゴム)の靴紐
靴紐自体がゴムやシリコンなどの伸縮素材でできています。一度、自分の足に合う強さで通してしまえば、紐が足の動きに合わせて伸び縮みするため、結んだままでもスリッポンのように脱ぎ履きが可能になります。見た目は通常の靴紐とほとんど変わらないデザインも多く、最も手軽に取り入れられる方法の一つです。
2. ロックパーツタイプ(カプセル式・マグネット式)
伸縮性のある紐をスニーカーに通し、最後に余った紐をハサミでカットします。その先端を「カプセル型」や「マグネット式」の専用金具(ロックパーツ)で固定するタイプです。結び目が物理的に完全に無くなるため、見た目が非常にスッキリするのが最大の特徴です。ランニングシューズなどにも採用されることがあります。
3. コブ付きタイプ
靴紐自体に一定間隔で「コブ」が付いており、そのコブがシューレースホール(穴)に引っかかることで紐が固定される仕組みです。結ぶ必要がなく、コブの位置でフィット感の微調整がしやすいのが特徴です。代表的な製品として「COOLKNOT(クールノット)」などがあります。(参照:COOLKNOT公式サイト)
目的の違いを理解しよう
チップ垂らしはあくまで「スタイル」や「ファッション」が目的です。一方、これらの専用アイテムは「利便性」や「機能性」の向上が主な目的です。脱ぎ履きの楽さを最優先するのか、それともファッション性を追求するのか、自分の目的に合わせて選ぶことが重要です。
基本的なチップ垂らしのやり方
ここで解説する「基本的なやり方」は、最も一般的で誰でもすぐに試せる簡単な方法です。ただし、この方法は前述の通り「緩みやすい」という最大のデメリットを持っていることを念頭に置いてください。
【基本的な手順】
- 通し始め まず、一番下の穴から靴紐を通し始めます。この時、通し方は「アンダーラップ(シューレースホールの内側から外側へ通す)」でも「オーバーラップ(外側から内側へ通す)」でも構いません。
豆知識:アンダーラップは見た目がスッキリし、オーバーラップは締め付けが強くなる傾向があります。チップ垂らしの場合、見た目がスッキリするアンダーラップが好まれることも多いです。
- 上まで通す そのまま一番上のシューレースホールまで、順番に紐を通していきます。この時、左右の紐の長さが極端に違わないよう、時折調整しながら進めましょう。
- 垂らして完成 一番上の穴まで通し終えたら、蝶々結びをせず、そのまま先端(チップ)を両側に垂らします。
- 最終調整 スニーカーに足を入れ、全体のフィット感を調整します。最後に、垂らした紐の長さが左右均等になるように整えたら完成です。
この方法は非常に簡単ですが、前述の通り、歩行中に紐が穴から抜けたり、フィット感が失われたりしやすい点に十分注意が必要です。短時間のお出かけや、スタイルを重視したい日に試すのが良いでしょう。
AJ1でのチップ垂らしのやり方
エアジョーダン1(AJ1)のようなハイカットスニーカーでチップ垂らしを行う場合、最大のデメリットであった「緩みやすさ」を解消する、応用的な通し方がスニーカーヘッズの間で推奨されています。この方法は、見た目の美しさと機能性を両立させるテクニックです。
ここで紹介する方法は、通常の通し方(下から上へ)とは逆に、「上から下へ」向かって通し始め、紐を内側で効果的に固定するのが最大の特徴です。
【緩みにくいチップ垂らしの手順(7ステップ)】
- スタート(上から2番目の穴) まず、シューレースホールの一番上は空けておき、「上から2番目の穴」に対し、外側から内側へと紐の先端を通します。
- タグ裏を通す シュータン(ベロ)の中央付近にあるシューレースを通すためのタグの内側(裏側)に、内側に通した紐を通します。これは紐のスタート地点を固定する役割があります。
- 反対側へ抜く タグの裏を通した紐を、そのまま「反対側の上から2番目の穴」に対し、内側から外側へと先端を抜き出します。
ポイント:この時点で、紐の左右の長さが均等になるように調整してください。ここが実質的なスタート地点(一番下の穴の役割)となります。
- 下へ向かって通す ステップ3で外側に出た紐を、通常とは逆の方向に、「上から下へ」向かって順番に(アンダーラップまたはオーバーラップで)通していきます。
- 最上部へ引き上げる 一番下の穴まで通し終えたら、紐が余っているはずです。その紐の先端を、通してきた紐の下側を潜らせるようにして(内側で絡ませて)、最初に空けておいた「一番上の穴」まで紐を持ってきます。
- 紐の下側を通す 一番上まで持ってきた紐の先端を、ステップ1で通した横の紐(上から2番目の穴にかかっている紐)の下側を通します。ここでテンションがかかり、紐がロックされます。
- 先端を抜いて調整 最後に「一番上の穴」から靴紐の先端(チップ)を外側に抜き出し、垂らす長さを左右均等に調整して完成です。
この手順は少し複雑ですが、紐が内側で効果的に固定されるため、歩行中に緩んだり先端が抜けたりするのを劇的に防ぐことができます。AJ1でチップ垂らしを常用したい方には必須のテクニックと言えるでしょう。
ハイカットでのチップ垂らしのコツ
AJ1(エアジョーダン1)をはじめとするハイカットスニーカーで、チップ垂らしをスタイリッシュかつ快適に実践するには、いくつかの重要なコツがあります。
最大のポイントは、前述した「緩みにくいやり方」をマスターすることです。ハイカットはシューレースホールの数が多いため、単純に垂らすだけではフィット感が失われやすく、足首周りが安定しません。内側で紐を固定する応用的な通し方を選ぶことで、スタイルと最低限の実用性を両立させることが可能になります。
また、靴紐の長さ選びも非常に重要です。純正の紐は長すぎることが多いため、専用の紐に交換することを強く推奨します。
ハイカットの紐の長さ目安(再掲)
ハイカットスニーカー(穴が8〜9個程度)の場合、以下の長さを目安に選ぶのが一般的です。
推奨される長さ | 特徴 |
---|---|
140cm | 垂らし部分が短めになり、スッキリした印象になります。ただし、甲高の方や緩めに通したい場合は窮屈に感じる可能性があります。 |
160cm | 最もスタンダードな選択肢。適度な余裕を持って垂らしを作ることができ、バランスが取りやすい長さです。迷ったらこちらが無難です。 |
紐の素材(コットン、ポリエステルなど)や太さ(平紐、丸紐)によっても全体の印象は大きく変わります。自分のスニーカーやファッションスタイルに合わせて、最適な一本を選ぶこともカスタムの楽しみの一つです。
チップ垂らしをローカットで行う場合
チップ垂らしはハイカットのイメージが強いかもしれませんが、ローカットスニーカーで行う場合も、ハイカットとは異なる魅力があります。基本的な考え方は同じですが、いくつかの違いとコツがあります。
まず、ローカットはハイカットに比べてシューレースホール(穴)の数が少ないため(通常6〜7個)、ハイカットほど複雑な通し方をしなくてもスタイルを確立しやすいのが特徴です。その分、フィット感の調整はよりシビアになります。
おすすめの靴紐の長さは「120cm」が定番の目安とされています。純正の紐(140cm程度が多い)から交換するだけで、垂らしのバランスが良くなることが多いです。
ローカット独自のテクニック
ローカットの場合、「一番上の穴を使わずに、一つ手前の穴から垂らす」というテクニックも有効です。一番上の穴(アンクル部分)をフリーにすることで、足首周りの圧迫感をさらに減らし、よりリラックスした「抜け感」を演出できます。
もちろん、ローカットでもハイカットで紹介した「緩みにくいやり方」を応用することは可能です。その場合、スタート地点を「一番上の穴」と「上から2番目の穴」で行うなど、アレンジが必要になります。色々と試して、自分の足とスニーカーに最適なバランスを見つけることが大切です。
スニーカーのチップ垂らしやり方まとめ
この記事では、スニーカーの「チップ垂らし」について、その人気の理由から具体的なやり方、メリット・デメリット、そしてハイカットとローカットでの違いまでを詳しく解説しました。チップ垂らしは、手軽にスニーカーの印象を変えられる魅力的なカスタム方法ですが、その特性を理解して実践することが重要です。
最後に、この記事の要点をリストでまとめます。
- チップ垂らしは靴紐を結ばず先端(チップ)を垂らすスタイル
- 足元に動きや「抜け感」といったおしゃれ感を出すために行われる
- メリットは見た目のアクセント向上と脱ぎ履きの手軽さ
- デメリットは靴紐が緩みやすくフィット感が低下すること(スポーツには不向き)
- 「ダサい」印象は紐が長すぎたり汚れていたりすると出やすい
- 靴紐が長い場合は専用の短い紐に交換するのがおすすめ
- ローカットの紐の長さ目安は120cmが一般的
- ハイカットの紐の長さ目安は140cmまたは160cmが無難
- 「結ばない」利便性を求めるなら専用アイテム(ゴム紐・ロック式など)も有効
- 専用アイテムとチップ垂らしは目的が異なる(利便性 vs ファッション性)
- 基本的なチップ垂らしは一番上まで通して垂らすだけで簡単だが緩みやすい
- AJ1などハイカットでは「緩みにくい応用的なやり方」が推奨される
- 緩みにくい方法は上から2番目の穴からスタートし内側で紐を固定する
- ローカットは一番上の穴を使わずに垂らすテクニックも有効
- スタイルと快適性のバランスを考えTPOに合わせて楽しむことが重要