お気に入りのスニーカーを自分好みの色に変えたい、あるいは長年愛用して古くなってしまった一足を新品のように蘇らせたい。そう思ったとき、真っ先に思い浮かぶのは「なんでも揃う」でお馴染みのドン・キホーテではないでしょうか。専門店に行くのは敷居が高いし、ネット通販だと届くまでに時間がかかる。もし、近所のドンキでプロ並みの仕上がりが期待できる塗料が手に入るとしたら、これほど便利なことはありませんよね。
しかし、いざドンキに行ってみると、その広大な売り場と圧倒的な商品数に圧倒され、「一体どこにスニーカー用の塗料があるのか?」と途方に暮れてしまう方も少なくありません。また、「100均のアクリル絵の具でも代用できるのではないか?」「有名なアンジェラスペイントは置いているのか?」といった疑問も尽きないでしょう。実は、ドン・キホーテにはスニーカーカスタム専用として販売されているわけではないものの、スニーカー愛好家の間では常識となりつつある「隠れた名品」が存在します。

この記事では、スニーカーカスタムに興味を持ち始めたあなたが、ドン・キホーテで迷わずに最適な材料を調達し、初めてでも失敗することなく理想の一足を作り上げるための全知識を網羅しました。私が実際に試して辿り着いた「正解」のアイテム選びから、塗装が剥がれないためのプロ顔負けの施工テクニックまで、余すところなくお伝えします。
- ドンキで購入できるスニーカー塗装に最も適した「染めQ」の具体的な特徴とメリット
- プロ愛用のアンジェラスや手軽な100均アイテムとの決定的な違いと使い分け基準
- 広い店内で迷わないための正確な売り場情報と、在庫を確実に確認するスマートな方法
- 塗装の寿命を劇的に延ばすための徹底した下準備と、失敗しない重ね塗りの手順
ドンキで探すスニーカーペイント塗料の正解
スニーカーのカスタムや補修を思い立ったその日に実行できるのが、実店舗であるドン・キホーテの最大の魅力です。しかし、ドンキには「スニーカー用塗料」という看板が掲げられたコーナーは存在しません。では、私たちは何を目印に、どの売り場を目指せばよいのでしょうか。ここでは、数ある商品の中からスニーカーカスタムに転用できる「最適解」を見つけ出すためのナビゲーションと、他の選択肢との比較について、私の実体験を交えて徹底的に解説します。
売り場のコーナーと在庫確認の方法
ドン・キホーテに入店して、まず向かうべきはどのコーナーでしょうか。「色を塗るんだから文房具コーナーだろう」あるいは「靴の補修だからシューズコーナーだろう」と考えるのが一般的かもしれません。しかし、スニーカーのペイントにおいて最も信頼性の高い塗料を見つけるための正解は、意外にも「カー用品コーナー」、もしくは「DIY・工具コーナー」なのです。

なぜカー用品コーナーなのか、疑問に思うかもしれません。実は、車のシートやダッシュボード、ハンドルといった内装パーツには、本革や合成皮革、特殊なプラスチック素材が多く使われています。これらはスニーカーに使われている素材と非常に似通っており、車内という過酷な環境(高温、摩擦、振動)に耐えうる補修用塗料は、スニーカーにとっても理想的な耐久性を持っているのです。
具体的には、カー用品コーナーの「補修用品・ペイント」の棚を探してみてください。車のボディ用のタッチペンなどと並んで、後ほど詳しく紹介する「染めQ」などのスプレー缶が陳列されているはずです。また、店舗によっては「DIY・工具コーナー」のラッカースプレー売り場に置かれていることもあります。文具コーナーにある画材用スプレーは、紙や木材用が主であり、スニーカーのように動く素材には適さないことが多いため注意が必要です。
在庫確認はアプリ活用がスマート
ドン・キホーテは店舗によって品揃えが大きく異なります。巨大なMEGAドン・キホーテなら在庫が豊富でも、駅前の小型店舗では取り扱いがないということも珍しくありません。広い店内を歩き回った挙句、「結局なかった」という徒労を防ぐために、私が強くおすすめするのがドンキ公式アプリ「majica(マジカ)」の活用です。
アプリ内には「マジボイス」という機能や店舗検索機能があり、そこから近隣店舗の取り扱い状況を確認したり、商品バーコード(JANコード)を使って在庫を検索したりすることが可能です。また、電話で問い合わせる際も、「スニーカー用の塗料ありますか?」と聞くより、「染めQ(そめキュー)のエアゾールタイプ、264mlのブラックはありますか?」と具体的に商品名を伝えることで、店員さんもスムーズに在庫を確認してくれます。
ここがポイント! 店員さんに場所を聞くときは、スマートフォンの画面で商品の画像を見せると一発で伝わります。「染めQ」のパッケージは特徴的なので、画像を見せるのが最も確実なコミュニケーション手段です。

アンジェラスはドンキで取り扱いがあるか
InstagramやYouTubeでスニーカーカスタムの動画を見ていると、必ずと言っていいほど登場するのが「アンジェラスペイント(Angelus Paint)」です。アメリカ製のこの塗料は、スニーカーカスタムのために開発されたと言っても過言ではなく、発色の良さ、屈曲への強さ、そして豊富なカラーバリエーションで、世界中のカスタマイザーから絶大な支持を得ています。
当然、「ドンキにもアンジェラスが売っていれば最高なのに」と考えるのは自然な流れです。しかし、結論から申し上げますと、基本的にドン・キホーテではアンジェラスペイントの取り扱いはありません。(※ごく稀に、輸入雑貨を強化している一部の特殊な店舗でスポット入荷している可能性もゼロではありませんが、期待しない方が無難です。)
アンジェラスペイントは、一般的なホームセンターや量販店でもほとんど見かけることはなく、購入するには専門的な画材店(世界堂など)や、東急ハンズの一部店舗、あるいはAmazonや楽天、スニーカーカスタム専門のオンラインショップを利用するのが一般的です。

アンジェラスがない場合の判断基準
では、アンジェラスがドンキにないからといって、スニーカーカスタムを諦めるべきでしょうか?それはあなたの「目的」次第です。
| あなたの目的 | 推奨される行動 |
|---|---|
| 「今日すぐに塗りたい」「全体を一色に染めたい」 | ドンキで「染めQ」を購入するのがベスト。スプレーなので広範囲の塗装が圧倒的に楽で早いです。 |
| 「細かい絵を描きたい」「色を混ぜてオリジナルカラーを作りたい」 | ドンキでの購入は諦め、ネットでアンジェラスを取り寄せるべきです。スプレー塗料では細かい描写や調色は不可能です。 |
もしあなたが「全体の色を変える(カラーチェンジ)」や「色あせの補修」を目的としているなら、わざわざアンジェラスを取り寄せなくても、ドンキで手に入るスプレー塗料で十分に、いや、むしろスプレーの方がムラなくきれいに仕上げることができます。
100均ダイソーのアクリル絵の具と代用
カスタムを始めようとした時、特に学生の方や「まずは試しに」という初心者の方が真っ先に思いつくのが、ダイソーやセリアといった100円ショップの画材を利用するアイデアではないでしょうか。数百円で材料が揃うなら、それに越したことはありませんよね。
結論から申し上げますと、100均のアクリル絵の具でスニーカーを塗ること自体は「可能」ですが、そのまま使うと「悲惨な結果」を招く可能性が極めて高いです。ここでは、なぜ100均の絵の具が推奨されないのかという理由と、それでもコストを抑えるために使いたい場合の「裏技」について、包み隠さず解説します。
なぜ「そのまま」塗ると失敗するのか

ダイソーなどで販売されている一般的なアクリル絵の具は、主に紙や木材、キャンバス(絵画用)に描くことを想定して作られています。これらの塗料は乾燥すると、プラスチックのように非常に硬い皮膜を作ります。
一方で、スニーカーは歩くたびにアッパー(甲の部分)が大きく曲がったり伸びたりを繰り返します。この「素材の動き」に対して「カチカチに固まった塗料」は追従できません。その結果、履いて家を出て数分後には、バリバリという音と共に塗装面に亀裂が入り、ポロポロと剥がれ落ちてしまうのです。特に、屈曲が激しい指の付け根付近は、一瞬でひび割れてしまいます。
どうしても100均で済ませたい場合の「混ぜ物」テクニック
「それでもやっぱり、高い塗料は買えない!」「文化祭や体育祭で一日だけ履ければいい!」という切実なニーズもあるでしょう。そんな時に耐久性を少しでも高めるための必須アイテムが、「ペイントメディウム(布用定着剤)」です。
これも店舗によりますが、ダイソーやセリアの手芸コーナー、または大型店の画材コーナーに置かれていることがあります。このメディウムをアクリル絵の具に混ぜることで、乾燥後の塗膜に「ゴムのような柔軟性」を与えることができ、割れにくさが向上します。
黄金比率は「1:1」 私が試した中で最もバランスが良かったのは、「アクリル絵の具 1」に対して「メディウム 1」の割合でよく混ぜ合わせることです。メディウムの量が少なすぎると割れますし、多すぎると色が薄くなり発色が悪くなります。

メリットとデメリットの最終確認
この「100均絵の具+メディウム」という手法を採用する場合、以下のリスクを許容できるかどうかが判断の分かれ目になります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
|
|
プロからの忠告 この方法はあくまで「イベント用」や「履き潰す予定の靴」、「上履きのデコレーション」などに留めておくのが無難です。お気に入りのレアなスニーカーや、日常的にガシガシ履きたい靴には、絶対にこの方法を使わないでください。後悔することになります。
手軽なペンタイプやポスカで補修する方法
「スプレーで大掛かりな作業をするのは面倒くさい」「部屋を汚したくない」という方には、ペンタイプの塗料という選択肢があります。ここでもドンキの文具コーナーが活躍します。特に有名なのが、三菱鉛筆の「POSCA(ポスカ)」です。
「ポスカって水性ペンでしょ?雨で流れないの?」と心配される方も多いですが、ポスカのインクは「不透明水性顔料インク」を使用しており、乾くと耐水性になります。そのため、スニーカーのちょっとした補修には意外なほど役立つのです。
ポスカが活躍する具体的なシーン
- ミッドソールの黄ばみ隠し:白のポスカ(極太や太字)を使って、黄ばんだゴム部分を塗りつぶすと、驚くほど白さが蘇ります。
- ステッチ(縫い糸)のカラーチェンジ:スプレーでは不可能な、糸の部分だけを赤や青に変えるといった細かいカスタムに最適です。
- ブーストフォームの補色:アディダスのウルトラブーストなどに見られる発泡スチロール状のソールが黒ずんだ際、白ポスカでタッチアップするときれいになります。
また、ドンキの手芸コーナーには「布描きしましょ」や「布用マーカー」といった商品も置かれています。これらはキャンバス素材のスニーカーに絵を描いたり、名前を書いたりするのに特化しており、洗濯しても落ちにくい設計になっています。
ただし、ペンタイプは広い面を塗るとどうしても塗りムラ(筆跡)が目立ってしまいます。あくまで「部分的な補修」や「ワンポイントのアクセント」として活用するのが賢い使い方です。
塗装が剥がれない最強の染めQを選ぶ理由

ここまで様々な選択肢を見てきましたが、もしあなたが「ドン・キホーテで買える材料で、最もプロに近い仕上がりを実現したい」と願うなら、選ぶべき塗料はただ一つ。「染めQ(そめキュー)」です。
染めQは、DIY愛好家や車のカスタム層から絶大な信頼を得ているスプレー塗料ですが、スニーカーカスタムにおいても最強のパフォーマンスを発揮します。では、なぜ染めQがスニーカーに最適なのでしょうか。その秘密は、一般的なラッカースプレーとは根本的に異なる「粒子の細かさ」にあります。
ナノ粒子技術が実現する「染める」ような密着力

通常の塗料は、素材の表面にペンキの膜を乗せるイメージです。そのため、素材の質感が失われ、曲げると膜が割れてしまいます。一方、染めQは独自のナノ密着技術により、塗料の粒子がナノ単位まで細かくされています。この微細な粒子が、革や布の繊維の奥深くまで入り込んで密着するため、まるで最初からその色で染められていたかのような質感に仕上がるのです。
これにより、スニーカー特有の柔らかい革の質感や、キャンバス地の風合いを損なうことなく、色を変えることができます。そして何より、引っ張ってもねじっても塗料が素材に追従するため、塗装割れや剥がれが極めて起きにくいという特徴があります。
公式情報による裏付け 染めQの公式サイトでも、その特徴として「引っ張っても、ねじっても、割れたり剥がれたりしません」「素材の質感も変えず、まるで染めたような仕上がり」と明記されており、革製品やビニールレザーへの適性が保証されています。 (出典:染めQテクノロジィ『染めQエアゾール』製品情報)
サイズ展開も豊富で、ワンポイントやロゴの塗り替えに便利な「70ml(ミニサイズ)」と、スニーカー全体をしっかり塗るための「264ml」があり、用途に合わせて選べるのもドンキで購入する際の嬉しいポイントです。
ドンキの塗料でスニーカーペイントする手順
最強の武器である「染めQ」をドンキで手に入れたら、いよいよ施工のステップに入ります。「スプレーなんて、ただ吹きかければいいんでしょ?」と思っているなら、その考えは今すぐ捨ててください。スニーカーペイントの成否は、塗装そのものよりも、その前段階である「下準備」で9割が決まると言っても過言ではありません。
ここでは、ドン・キホーテで揃う道具だけを使い、初めての方でも失敗せずに、既製品のような美しい仕上がりを実現するための具体的な手順をステップバイステップで解説します。
準備に必要な脱脂剤やマスキングテープ
塗装を始める前に、必ず揃えておきたい「脇役たち」がいます。これらをケチると、どんなに良い塗料を使っても必ず失敗します。全てドンキで揃いますので、染めQと一緒にカゴに入れてください。

| アイテム名 | 売り場 | 役割と重要性 |
|---|---|---|
| シリコンオフ(またはパーツクリーナー) | カー用品 | 【最重要】素材表面の油分を完全に除去します。これがないと塗料が弾かれて密着しません。 |
| マスキングテープ | DIY・文具 | ソールやロゴ、タグなど、色を付けたくない部分を保護します。幅の違うものを数種類用意すると便利です。 |
| メラミンスポンジ(激落ちくん等) | 日用品 | 足付け(表面を軽く削る)作業に使います。塗料の食いつきを良くするために有効です。 |
| 新聞紙・ビニール手袋 | 日用品 | 周囲の汚れ防止と、手荒れ防止のために必須です。 |
なぜ「脱脂」が命取りになるのか
特に強調しておきたいのが「脱脂(だっし)」の工程です。新品のスニーカーであっても、製造過程で革を保護するためのワックスや油分がたっぷりと塗られています。中古のスニーカーなら、靴クリームや皮脂汚れが付着しています。
この油分が残ったままスプレーを吹くと、塗料は表面で弾かれ、乾燥後すぐにペリペリと剥がれてしまいます。カー用品コーナーにある「シリコンオフ」を布に取り、スニーカーの表面をキュキュッとなるまで丁寧に拭き上げてください。除光液やアルコールでも代用は可能ですが、革を傷めるリスクや脱脂力の弱さを考えると、専用品を使うのが最も安全で確実です。

染めQを使って薄く重ね塗りするコツ
下準備(洗浄、脱脂、マスキング)が完璧に終わったら、いよいよ塗装です。ここでプロのような仕上がりを手に入れるための黄金ルールがあります。それは「薄く、何度も重ねる」ことです。
スプレー缶を「湯煎」するプロの技
塗装を始める前に、スプレー缶を40〜50度くらいのお湯(お風呂のお湯程度)に数分間つけて温めてください。これはプロの塗装業者が冬場に行うテクニックですが、スプレー缶内部のガス圧を高めて安定させる効果があります。これにより、噴射される霧(ミスト)がより細かく、均一になり、ボテッとした液垂れやムラを防ぐことができます。
「色は乗らない」くらいが丁度いい
スニーカーから15cm〜20cmほど離し、素早く手を動かしながらスプレーします。この時、一度で色を付けようとしてはいけません。1回目は「なんとなく色が着いたかな?」程度で止めるのが正解です。

- 1回目: 捨て吹きのような感覚で、全体に薄くふわっと乗せる。(下地が透けていてOK)
- 乾燥: 3分〜5分ほど乾かします。染めQは速乾性なので、夏場ならすぐに乾きます。
- 2回目〜3回目: 徐々に色を濃くしていきますが、まだ厚塗りは厳禁です。
- 4回目以降: 好みの発色になるまで、薄塗りと乾燥を繰り返します。通常は5回〜6回重ねることで、ムラのない均一な塗膜が完成します。
焦って一度に厚く吹くと、塗料が垂れてきたり、乾燥後に表面がひび割れやすくなったりする原因になります。「急がば回れ」の精神で、薄い層を積み重ねていくイメージで作業してください。
レザーや布など素材別の塗装注意点
染めQは万能選手ですが、スニーカーの素材によってその挙動は異なります。ここでは、代表的な素材である「レザー(革・合皮)」と「キャンバス(布)」それぞれの注意点を解説します。

レザー・合皮の場合
レザー素材は比較的塗料が乗りやすく、発色も良いのが特徴です。ただし、光沢のあるエナメル素材や、油分を多く含んだオイルレザーの場合は、塗料が定着しにくいことがあります。この場合は、塗装前に目の細かいサンドペーパー(#600〜#800程度)で軽く表面を擦り、細かい傷をつける「足付け」という作業を行うと、物理的に塗料が食いつきやすくなり、剥がれにくさが向上します。
キャンバス(布)の場合の落とし穴
コンバースのオールスターやVANSのようなキャンバススニーカーを塗る場合は、特に注意が必要です。布は塗料をスポンジのように吸い込んでしまうため、革に塗る場合の倍以上の塗料を消費します。
「70mlのミニ缶で足りるだろう」と思って塗り始めると、片足の半分も塗らないうちに空になってしまうという悲劇がよく起こります。キャンバススニーカーを全塗装する場合は、最初から264mlの大きいサイズを用意しておくことを強く推奨します。また、布の繊維の奥まで色を入れるため、革よりも多めに重ね塗り(8回〜10回程度)が必要になることも覚悟しておきましょう。
濃い色から明るい色への変更 黒いスニーカーを赤や黄色などの明るい色に変えたい場合、そのまま塗っても下の黒色が透けてしまい、きれいに発色しません。この場合は、「染めQ ベースコート(白)」または「染めQ ホワイト」を下塗りとして使い、一度真っ白にしてから目的の色を重ねることで、鮮やかな発色を得ることができます。
仕上げの防水スプレーで耐久性を高める
塗装が完了し、マスキングテープを剥がして「完璧だ!」と感動する瞬間。しかし、ここで焦ってすぐに履き出してしまうのは禁物です。カスタムスニーカーを長く美しい状態で楽しむためには、塗装作業と同じくらい、あるいはそれ以上に「仕上げのコーティング」と「完全乾燥」が重要になります。
ここでは、ドン・キホーテで手に入るアイテムを使った、プロ並みの耐久性を出すための最終仕上げ工程を詳しく解説します。
「指触乾燥」と「完全乾燥」の違いを知る
まず、スプレーを吹き終わって数十分もすれば、手で触っても色がつかない状態(指触乾燥)になります。しかし、この段階では塗料の内部はまだ柔らかく、定着が不安定です。ここで履いてしまうと、屈曲部分からすぐに割れが生じたり、靴下やパンツの裾に色が移ったりするトラブルが起きます。
塗料の成分が揮発し、ナノ粒子が素材にガッチリと結合するまでには時間がかかります。メーカー推奨の乾燥時間は季節によりますが、私は個人的に「最低でも24時間、できれば48時間は風通しの良い日陰で放置する」ことを強くおすすめしています。この「待ち」の時間が、塗装の寿命を決定的に左右します。

ドンキで買うべきは「フッ素系」の防水スプレー
完全乾燥が終わったら、塗膜を保護するために防水スプレーを使用します。ドン・キホーテの靴売り場やレジ横には様々な種類の防水スプレーが並んでいますが、適当に選んではいけません。必ず「フッ素系」と書かれたものを選んでください。
| 種類 | 特徴 | スニーカー塗装への適性 |
|---|---|---|
| フッ素系 (推奨) | 繊維の一本一本をコーティングする。通気性を損なわず、水だけでなく油汚れも弾く。 | ◎ 最適 「アメダス(コロンブス)」などが代表的。 |
| シリコン系 (非推奨) | 表面に膜を張る。撥水性は高いが通気性が失われ、塗装が変色したりシミになったりするリスクがある。 | △ 避けるべき 傘やレインコート用として売られていることが多い。 |
ドンキでよく見かける定番商品「アメダス(AMEDAS)」はフッ素系であり、塗装面への影響も少ないため、迷ったらこれを選べば間違いありません。防水スプレーは単に水を弾くだけでなく、表面に見えないバリアを張ることで、埃や泥汚れが塗装の隙間に入り込むのを防ぎ、紫外線による色あせ(退色)を遅らせる効果も期待できます。
白化を防ぐ正しいスプレーのかけ方
防水スプレーも、かけ方を間違えると表面が白く粉を吹いたようになったり(白化現象)、シミになったりします。以下の手順を守って丁寧に仕上げましょう。

- 屋外へ移動する: 防水スプレーの成分は吸い込むと非常に危険です。必ず換気の良い屋外で使用してください。
- 距離をとる: スニーカーから30cmほど(スプレー缶1本分くらいの距離)離します。近すぎると液ダレやシミの原因になります。
- 全体にふわっと: 一箇所に集中させず、全体を包み込むように薄く噴射します。片足あたり3秒〜5秒程度で十分です。
- 乾燥させて2度吹き: 一度乾かしてから(15分程度)、もう一度同じようにスプレーすると効果がより高まります。
メンテナンスの頻度 コーティング効果は永久ではありません。スニーカーを履く頻度にもよりますが、2週間〜1ヶ月に一度、汚れをブラシで払った後に防水スプレーをかけ直すメンテナンスを行うことで、「きれいな色」を驚くほど長くキープできます。
ドンキのスニーカーペイント塗料まとめ

今回の記事では、ドン・キホーテで手に入るスニーカーペイント塗料の選び方から、具体的な施工手順までを詳しく解説してきました。最後に要点を振り返りましょう。
- スニーカーペイントの材料を探すなら、ドンキの「カー用品コーナー」へ直行しましょう。
- 最強の塗料は「染めQ」です。ナノ粒子技術により、割れにくく自然な仕上がりを実現します。
- 有名な「アンジェラス」はドンキにはありません。本格的な描写を求めるならネット通販を利用しましょう。
- 成功の9割は「脱脂」で決まります。シリコンオフを使って油分を徹底的に除去してください。
- 塗装は「薄く重ね塗り」が鉄則です。焦らず時間をかけることが、剥がれないカスタムへの近道です。
自分で手を加えて色を変えたスニーカーは、既製品にはない愛着が湧き、履くたびに特別な気分にさせてくれるはずです。ドン・キホーテという身近な場所にある材料だけで、これほど本格的なカスタムが可能です。ぜひ、今度の休日はドンキへ足を運び、世界に一足だけのオリジナルスニーカー作りに挑戦してみてください。あなたのスニーカーライフが、よりカラフルで楽しいものになることを願っています。
免責事項 本記事で紹介した方法は、執筆者の経験に基づく一般的な手順です。スニーカーの素材の状態や保管環境、塗装時の気温・湿度によっては、期待通りの仕上がりにならない場合もあります。大切なスニーカーや高価なスニーカーを塗装する際は、必ず目立たない場所でパッチテストを行ってから、自己責任で実施してください。

