お気に入りのスニーカーを履いて出かけた日に限って、靴擦れや不意の怪我で血がついてしまった……そんな経験、誰にでも一度はあるのではないでしょうか?真っ白なスニーカーにポツンと落ちた赤いシミを見た瞬間の絶望感といったらありませんよね。特に血液の汚れは、泥や食べこぼしとは少し性質が異なり、間違った処置をすると「永遠に落ちないシミ」として定着してしまう厄介な存在です。
「すぐに水で洗えばいいの?」「それとも漂白剤?」と焦ってあれこれ試した結果、かえって汚れが広がったり、お気に入りの靴が変色してしまったりしたら目も当てられません。でも、安心してください。血液汚れのメカニズムさえ理解していれば、自宅にある身近なアイテムを使って、驚くほど綺麗にリカバリーすることが可能です。
この記事では、スニーカー好きの私が実践している、素材別の正しい血液汚れの落とし方を徹底解説します。時間が経って頑固になったシミへの対処法から、絶対にやってはいけないNG行動まで、大切なスニーカーを守るための知識を余すところなくお伝えします。

- 時間が経って酸化し、茶色く固まってしまった頑固な血液汚れを効果的に落とす具体的な手順
- オキシクリーン、重曹、セスキ炭酸ソーダなど、ドラッグストアで買える身近なアイテムを使ったプロ級の洗浄テクニック
- 水洗いができないレザーやデリケートなスエードなど、素材ごとに異なる正しいケア方法と注意点
- 白いスニーカーを洗った後に現れる「謎の黄ばみ」を防ぎ、新品のような白さを取り戻すための仕上げのコツ
状況別スニーカーの血の落とし方と基本
血液汚れを落とすために最も重要なこと、それは「汚れの状態」に合わせた適切なアプローチを選ぶことです。付着した直後のフレッシュな汚れと、時間が経って乾燥した汚れとでは、攻め方が全く異なります。ここでは、状況に応じた最適な対処法と、絶対に守るべき「血液汚れの鉄則」について深掘りしていきましょう。
外出先での応急処置には炭酸水を使う
怪我をしてスニーカーに血がついてしまった直後、つまり「付着してすぐ」の段階であれば、何よりもスピードが命です。血液は空気に触れて乾燥すると凝固が始まるため、乾く前に勝負を決める必要があります。近くに水道があればすぐに流水で洗い流すのがベストですが、公園や街中など、靴を脱いでジャブジャブ洗うわけにはいかないシチュエーションも多いですよね。
そんな外出先でのピンチに、私が強くおすすめしたい秘密兵器が「無糖の炭酸水」です。コンビニや自動販売機で手軽に購入できる炭酸水が、実は強力なシミ抜きアイテムになることをご存知でしょうか?
なぜ水ではなく炭酸水なのか?
炭酸水に含まれる二酸化炭素の気泡には、繊維の奥に入り込んだ汚れを物理的に浮かび上がらせる力があります。ただの水で濡らすよりも、発泡パワーで汚れを繊維から引き剥がす効果が高いため、応急処置としての洗浄力が格段に上がるのです。
具体的な手順は以下の通りです。この手順を知っているだけで、後の洗濯の手間が劇的に変わります。
炭酸水を使った応急処置の4ステップ

- 水分を吸い取る:まずは乾いたティッシュやペーパータオルを使い、付着している血液の水分を優しく吸い取ります。この時、絶対に汚れを広げないように注意してください。
- 炭酸水を含ませる:汚れた部分に炭酸水を少量かけます。ジュワッとした泡が繊維に入り込みます。
- 叩き出す:ハンカチやタオルの清潔な面をシミにあて、裏側から(可能であれば)あるいは上からトントンと優しく叩きます。
- 繰り返す:タオルの面を変えながら、血液がタオルに移らなくなるまで繰り返します。
ここで絶対にやってはいけないのが、慌てて「ゴシゴシこすること」です。こすると摩擦によって血液が繊維の奥深くに押し込まれてしまい、取れるはずの汚れが取れなくなってしまいます。あくまで「汚れを浮かせて、別の布に移す」というイメージで、優しくトントン叩くのが鉄則です。
時間が経った血液汚れの対処法
「帰宅してから気づいた」「忙しくて数日放置してしまった」という場合、血液は完全に乾燥し、繊維に固着してしまっています。さらに厄介なのが、血液中の鉄分(ヘモグロビン)が酸化することで、色が鮮やかな赤から茶褐色、あるいは黒っぽい色へと変化してしまうことです。こうなると、水洗いだけでは歯が立ちません。
時間が経った血液汚れに対しては、物理的な力ではなく、化学の力(洗剤)を使って汚れを分解する「叩き洗い」が基本のケアとなります。自宅にあるもので実践できる、最も確実な方法をご紹介します。
用意するもの
- 食器用中性洗剤(または液体洗濯洗剤):界面活性剤の力でタンパク質汚れにアプローチします。
- 汚れてもいいタオル:汚れを移し取るための受け皿として使います。
- 使い古した歯ブラシや綿棒:ピンポイントで汚れを叩くために必要です。
- ぬるま湯(30℃以下):水温が高すぎると血液が固まるため、必ず体温以下のぬるま湯を用意してください。
【手順詳細】洗剤液での叩き洗いテクニック

- 汚れの裏にタオルをあてる: まず、シミがついている部分の裏側(靴の内側など)に、汚れてもいいタオルをしっかりとあてがいます。これが汚れの「逃げ道」になります。
- 洗剤液を作る: 小皿などで、洗剤と水を1:1程度で混ぜた洗剤液を作ります。原液だと濃すぎてすすぎが大変になるため、少し水で緩めるのがコツです。
- 上からトントン叩く: 歯ブラシに洗剤液をつけ、シミの上からトントンと叩きます。こするのではなく、垂直に叩くことで、洗剤の成分を浸透させつつ、汚れを下のタオルへと押し出します。
- タオルをずらす: 下のタオルに血液汚れが移ったら、タオルの位置をずらして常に綺麗な面が裏側にくるようにします。これを汚れが移らなくなるまで根気よく続けます。
- すすぐ: 最後に水でしっかりと洗剤分を洗い流します。
この方法は、スニーカーの生地を傷めにくく、かつピンポイントで汚れを狙い撃ちできるため、まずはこのステップから試すことを強くおすすめします。
重曹やセスキ炭酸ソーダを活用する
中性洗剤での叩き洗いでも落ちきらない頑固なシミには、pH値(酸性・アルカリ性の度合い)を意識したアプローチが必要です。血液の主成分であるタンパク質汚れは、「アルカリ性」の洗剤を使うことで構造が緩み、分解されやすくなる性質を持っています。
そこで活躍するのが、ナチュラルクリーニングの定番である「重曹」や「セスキ炭酸ソーダ」です。どちらもアルカリ性ですが、使い分けることでより高い効果を発揮します。

| アイテム | 特徴と適性 | おすすめの使用方法 |
|---|---|---|
| セスキ炭酸ソーダ | 重曹よりもアルカリ度が高く、水に溶けやすい。血液汚れに対する洗浄力は非常に高い。 | 水500mlに小さじ1を溶かして「セスキスプレー」にし、シミに吹きかけて放置する。またはつけ置き液にする。 |
| 重曹 | 水に溶けにくいが、研磨作用がある。セスキが無い場合の代用として使える。 | 少量の水で溶いて「重曹ペースト」を作り、シミに塗り込んでパックする。 |
私のおすすめは、やはり「セスキ炭酸ソーダ」です。ドラッグストアや100円ショップの掃除コーナーで手に入りますが、血液汚れ(タンパク質)に対する分解力は重曹の約10倍とも言われています。
頑固なシミへの「重曹パック」のやり方
もし手元に重曹しかない場合は、以下の手順でパックを試してみてください。
- 重曹と水を2:1程度の割合で混ぜ、ドロッとしたペースト状にします。
- シミの部分にペーストを厚めに塗り込みます。
- その上からラップをかけ、乾燥を防ぎながら30分〜1時間ほど放置します。
- 時間が経ったらラップを外し、古い歯ブラシなどで優しくこすり落としながら水洗いします。
アルカリの力でタンパク質が分解され、薄くなっているはずです。
オキシクリーンやハイターの活用術
「広範囲に血が飛び散ってしまった」「かなり時間が経っていて色が濃い」といったレベル3の汚れには、酸素の力で汚れを分解・漂白する「酸素系漂白剤」の出番です。SNSなどでも話題の「オキシクリーン」や「ワイドハイター」がこれに該当します。
ただし、ここで多くの人がやりがちな致命的なミスがあります。それは「お湯の温度」です。
【最重要】オキシ漬けの温度は40℃厳守!

通常、オキシクリーンなどの酸素系漂白剤は50℃〜60℃のお湯で最も効果を発揮すると言われています。しかし、血液汚れに限って言えば、この温度はNGです。 血液中のタンパク質は、約60℃を超えると完全に熱変性を起こして固まってしまいます(ゆで卵が固まるのと同じ原理です)。一度熱で固まった血液は、どんな強力な漂白剤を使っても落ちなくなります。 そのため、血液汚れを落とすためのオキシ漬けは、「お風呂のお湯より少しぬるいかな?と感じる程度の40℃」で行うのが鉄則です。
漂白剤の選び方:塩素系はNG!
また、「ハイター」なら何でも良いわけではありません。キッチン用の「キッチンハイター」などの塩素系漂白剤は、漂白力が強すぎてスニーカーの生地を傷めたり、色柄物の色を一瞬で抜いてしまったりします。白いスニーカーであっても、ゴム部分や接着剤を変質させるリスクがあるため推奨しません。
必ず「酸素系漂白剤(ワイドハイターやオキシクリーン)」を選んでください。これらは色柄物にも安心して使えます。
【オキシ漬けの手順】
- バケツに40℃程度のぬるま湯を用意する。
- オキシクリーン(またはワイドハイター)を規定量溶かし、よく泡立てる。
- スニーカーを沈め、30分〜1時間程度つけ置きする(長時間放置しすぎると素材を傷めるので注意)。
- ブラシで優しく洗い、しっかりすすぐ。
大根おろしを使う意外な裏技
「洗剤も漂白剤も試したけれど、うっすらシミが残ってしまった…」そんな時に試してほしいのが、お台所にある「大根おろし」を使った裏技です。これ、単なるおばあちゃんの知恵袋ではなく、きちんとした科学的根拠に基づいた方法なんです。
大根には「ジアスターゼ(アミラーゼ)」や「プロテアーゼ」といった消化酵素が豊富に含まれています。これらの酵素は、食べたものを消化するのと同じように、繊維にこびりついたタンパク質(血液)やデンプン質の汚れを分解して柔らかくする働きを持っています。
大根おろしシミ抜きの実践法

- 大根をおろし金ですりおろします(市販のチューブではなく、生の大根が酵素活性が高くおすすめです)。
- おろした大根をガーゼや薄い布、またはキッチンペーパーに包みます。
- その「大根おろしボール」で、シミの部分をトントンと何度も叩きます。
- 大根の汁が染み込み、酵素が汚れにアプローチします。しばらく叩き続け、汚れが浮いてきたら水で洗い流します。
特に、時間が経って酸化してしまった古い血液シミに対して、この酵素パワーが意外なほどの効果を発揮することがあります。もし冷蔵庫に大根があれば、捨てる部分(皮や尻尾の方)でも良いので、ぜひ試してみてください。
白いスニーカーの黄ばみを防ぐコツ
苦労して血液汚れを落とし、「これで完璧!」と思って干したのに、乾いてみたら「洗った場所が黄色く変色している」という経験はありませんか?これは白いスニーカーあるあるですが、非常にショックですよね。
この黄ばみの正体は、主に「すすぎ残したアルカリ成分」です。洗濯洗剤や重曹、オキシクリーンなどは基本的にアルカリ性です。これらの成分が繊維の奥に残ったまま紫外線に当たると、化学反応を起こして黄色く変色してしまうのです(アルカリ焼けとも呼ばれます)。
黄ばみの原因別の対策や、落ちてしまった黄ばみを戻す手順まで把握したい場合は、バッシュの黄ばみの落とし方(原因別対処と予防)もあわせて読むと理解が深まります。
これを防ぐためには、単に水ですすぐだけでなく、化学的に中和してあげることが最も効果的です。
【魔法の仕上げ】クエン酸またはお酢での中和リンス

アルカリ性を中和するのは「酸性」です。すすぎの最終工程にひと手間加えましょう。
- 用意するもの:クエン酸(粉末)または穀物酢。
- 手順:
- バケツ一杯の水に、クエン酸なら小さじ1杯程度、お酢なら大さじ1杯程度を混ぜます。
- 洗い終わってすすいだスニーカーを、この「酸性水」にサッと浸します(長時間つける必要はありません)。
- その後、軽く水ですすいでから脱水して干します。
この工程を挟むだけで、アルカリ成分が中和され、乾燥後の黄ばみリスクを劇的に減らすことができます。白いスニーカーを真っ白に仕上げたいなら、この「中和」は必須テクニックと言っても過言ではありません。
素材別に見るスニーカーの血の落とし方
ここまでご紹介した方法は、主に「水洗いができる」一般的なスニーカー向けの方法でした。しかし、スニーカーの世界は奥深く、レザー、スエード、機能性素材など、水洗いが御法度なデリケート素材もたくさん存在します。
素材に合わない洗い方をしてしまうと、シミは落ちたけれど革がバキバキに割れてしまった……なんてことになりかねません。ここからは、素材別の正しいアプローチ方法を解説します。
キャンバス生地はつけ置き洗いで対処
コンバースのオールスターやバンズのエラなどに代表されるコットンの「キャンバス(帆布)」生地や、ナイキやニューバランスのランニングシューズに多用される「メッシュ」素材。これらはスニーカーの中でも特に吸水性が高いため、血液が付着すると瞬く間に繊維の奥深くまで染み込んでしまうのが厄介な点です。
表面についた汚れなら拭き取れば済みますが、奥まで入り込んだ血液は、上からブラシでゴシゴシこすっても中々届きません。むしろ、摩擦で生地が毛羽立ったり、色がハゲて白っぽくなったりと、ダメージの原因になりかねません。
そこで、私が最も信頼しており、かつ生地を傷めずに汚れを一掃できる方法として推奨するのが、酸素の泡の力で内側から汚れを押し出す「つけ置き洗い(オキシ漬け)」です。オキシ漬けのやり方を写真付きで整理したい方は、キャンバススニーカーの洗い方完全ガイド(黄ばみ・型崩れ対策付き)も役立ちます。
ここでは、単に漬けるだけでなく、失敗なく確実に汚れを落とすためのプロ級の実践ステップを詳しく解説します。
【完全ガイド】キャンバス・メッシュ素材のつけ置き洗浄ステップ

ただバケツに放り込むだけでは効果が半減してしまいます。以下の手順で丁寧に行うことで、驚くほど綺麗に仕上がりますよ。
用意するもの
- 酸素系漂白剤(オキシクリーンやワイドハイター)
- 40℃〜45℃のぬるま湯(血液が固まらない温度厳守)
- バケツ(または大きめのジップロック袋)
- 靴用ブラシ(亀の子束子などでも可)
- 洗濯用洗剤(予洗い用)
- 【重要】下準備と予洗い まず、靴紐(シューレース)とインソール(中敷き)は必ず外してください。これらがついたままだと、重なり合った部分の汚れが落ちず、すすぎ残しの原因にもなります。 そして、いきなりつけ置き液に入れる前に、靴底の泥や砂埃を水洗いでしっかり落としておきましょう。泥汚れはタンパク質の分解を邪魔してしまうため、このひと手間が仕上がりを左右します。
- つけ置き液(オキシ液)を作る バケツに40℃程度のぬるま湯を張り、規定量の酸素系漂白剤を溶かします。粉末タイプの場合は、泡立て器や手でよくかき混ぜて、しっかり泡立てるのがコツです。完全に溶けきっていないと効果が出にくいので注意してください。
- 全体を沈めて放置する スニーカーを液に沈めます。キャンバススニーカーは浮力で浮いてきやすいため、水を入れたペットボトルを重しに乗せるか、バケツの上に洗面器を置いて沈めると良いでしょう。 放置時間の目安は30分〜1時間です。(※これ以上長く漬けると、ソールを接着している糊が劣化したり、金具が錆びたりするリスクがあります)
- ブラッシングで汚れを搔き出す つけ置きで汚れが浮いて緩んだ状態になったら、引き上げてブラシでこすり洗いします。 キャンバス地は比較的丈夫なので、タワシなどで少し強めにこすっても大丈夫ですが、プリント部分やロゴ刺繍周辺は優しく洗ってください。この時、靴の中(つま先の方)も忘れずにブラシを入れましょう。
- 徹底的なすすぎ 泡が出なくなるまで、流水で念入りにすすぎます。ここで洗剤成分が残っていると、乾燥後に「黄ばみ」となって浮き出てきます。
- 脱水と乾燥 手で絞れないスニーカーは、洗濯機の脱水機能を使うのが賢い方法です。 そのまま入れると洗濯槽も靴も傷むので、必ず厚手のタオルで靴全体を包み、サイズの合う洗濯ネットに入れてから脱水にかけてください。時間は1〜3分で十分です。脱水後は形を整えて、風通しの良い日陰で干しましょう。
【裏技】バケツがない時は「ジップロック」が最強
「大きなバケツがない」「洗剤を大量に使うのがもったいない」という方は、大きめのジップロック(フリーザーバッグ)を使ったつけ置きがおすすめです。
バッグにスニーカーと洗剤、お湯を入れ、空気を抜きながらチャックを閉めれば、少量の水と洗剤で全体をまんべんなく浸すことができます。靴全体が密閉されるので浮いてくる心配もなく、お湯の温度も下がりにくいので洗浄効果が高まります。
濃い色のキャンバススニーカーを洗う際の注意点
白以外のキャンバススニーカー(赤、紺、黒などの「色モノ」)の場合、酸素系漂白剤であっても、長時間つけ置きすると色あせしてヴィンテージ風(悪く言えば古びた感じ)になってしまうことがあります。
色柄物を洗う際は、以下の点に注意してください。
- つけ置き時間を短縮する:通常30分〜1時間のところ、15分〜20分程度に留め、様子を見ながら行う。
- パッチテストを行う:洗う前に、綿棒に洗剤液をつけ、ベロ(タン)の裏側など目立たない部分につけて数分放置し、色が抜けないか確認する。
- 液体タイプを使う:粉末のオキシクリーンよりも、液体のワイドハイターの方が漂白力がマイルドで、生地への負担が少ない傾向があります。心配な場合は液体タイプを選びましょう。
キャンバスやメッシュは水洗いでさっぱり綺麗にできるのが最大のメリットです。正しい手順で洗えば、あの忌まわしい血液シミも嘘のようになくなりますので、ぜひ週末に試してみてくださいね。
レザーやスエード素材の注意点
ここが一番の難所です。スタンスミスやエアフォース1などの本革(天然皮革)・合皮(合成皮革)、あるいはニューバランスなどに多いスエード(起毛革)素材は、基本的に水洗いは推奨されません。水に丸ごと浸けてしまうと、型崩れ、革の硬化、ひび割れ、色落ちのリスクが非常に高くなります。
しかし、汚れを落とさないわけにはいきません。素材ごとに以下の方法で「部分洗い」を徹底してください。
レザー(スムースレザー・合皮)の場合

表面がツルツルした革素材は、比較的汚れが中まで染み込みにくい性質があります。
- 水拭き:まずは水で濡らして固く絞った柔らかい布で、血液部分をトントンと叩くように拭き取ります。ゴシゴシ擦ると表面のコーティングや塗装を傷めるので注意してください。
- 洗剤拭き:水だけで落ちない場合は、中性洗剤を水で10倍以上に薄め、布に含ませて優しく拭き取ります。
- 仕上げ:洗剤成分が残らないよう、綺麗な水拭きで仕上げ、最後に乾いた布で水分を拭き取ります。乾燥後は、必ずレザー用の保湿クリームを塗って栄養補給をしてください。
スエード・ヌバック(起毛素材)の場合
スエードは水分を吸いやすく、一度シミになると非常に厄介です。また、毛並みがあるため、強くこするとその部分だけハゲてしまいます。
- オキシドール活用法:血液汚れに対しては、薬局で売っている「消毒用オキシドール(過酸化水素水)」が有効な場合があります。綿棒にオキシドールを含ませ、シミ部分をピンポイントで叩きます。血液と反応してシュワシュワと白く泡立ち、分解されます。
- 拭き取り:泡立ったら、すぐに濡らして固く絞った布で叩くように拭き取ります。これを数回繰り返します。
- ブラッシング:乾燥後、スエード用の真鍮ブラシやゴムブラシで毛並みを起こすようにブラッシングして整えます。
※オキシドールは漂白作用があるため、目立たない場所で色落ちしないかテストしてから使用することをおすすめします。
お湯や乾燥機はNG!避けるべき行動

良かれと思ってやったことが、逆にスニーカーの寿命を縮めたり、汚れを定着させたりすることがあります。血液汚れとスニーカーケアにおいて、絶対に避けるべき3つのNG行動を心に刻んでください。
1. 熱湯を使うのは絶対NG
繰り返しになりますが、血液(タンパク質)は熱で凝固します。40℃までなら大丈夫ですが、50℃〜60℃以上のお湯を使うと、汚れが繊維と一体化して取れなくなります。「汚れ落とし=熱湯」というイメージがあるかもしれませんが、血液に関しては逆効果です。
2. 乾燥機やドライヤーの熱風乾燥
早く乾かしたい気持ちは分かりますが、コインランドリーの靴用乾燥機や家庭用ドライヤーの熱風は非常に高温です。もし汚れが少しでも残っていた場合、熱風によってその汚れが完全に焼き付いて(定着して)しまい、二度と落ちなくなります。また、熱によるソールの変形や剥がれの原因にもなります。
3. 直射日光での乾燥
天気が良いと外に干したくなりますが、直射日光(紫外線)はスニーカーの大敵です。白いスニーカーは黄ばみやすく、濃い色のスニーカーは色あせします。さらに、ゴムや接着剤の劣化を早めます。スニーカーは「風通しの良い日陰」で干すのが鉄則です。
スニーカーの素材や適切な取り扱い方法については、消費者庁が所管する家庭用品品質表示法に基づく「洗濯表示」を確認することも大切です。タグがついている場合は、必ずチェックする癖をつけましょう。
(出典:消費者庁『新しい洗濯表示』)
どうしても落ちない時はクリーニングへ
「記事で紹介された方法を全部試したけれど、どうしても薄っすらとシミが残ってしまった…」 「何十万円もするプレ値がついた限定スニーカーだから、自分で水につけるのが怖くて手が震える…」
そんな時は、無理に自宅で戦おうとせず、潔く「プロのクリーニング」に頼るのが正解です。特に血液汚れは、時間が経って酸化すると繊維と化学結合してしまい、家庭用の洗剤や漂白剤では太刀打ちできないレベルに変質していることがあります。これを無理に落とそうとして強い薬剤を使ったり、ゴシゴシこすったりすると、生地がボロボロになったり色が抜けたりして、取り返しのつかないダメージを負ってしまいます。
最近ではスニーカーブームに伴い、一般的な衣類クリーニング店だけでなく、「スニーカー専門のクリーニング店」や、全国どこからでも依頼できる「宅配スニーカークリーニング」のサービスが非常に充実しています。
なぜプロなら落ちるのか?家庭との決定的な違い

プロのクリーニング店には、家庭にはない圧倒的な技術と設備があります。
- 業務用の特殊酵素洗剤:市販品とは比較にならない濃度と分解力を持つ酵素洗剤を使い、繊維の奥のタンパク質を分解します。
- オゾン水洗浄:強力な殺菌・消臭・漂白効果を持つオゾン水を使用することで、汚れだけでなくニオイの原因菌まで根こそぎ除去します。
- 補色(リカラー)技術:これが最大の違いです。もし洗浄だけでシミが消えなかった場合、プロは「元の色に合わせて塗料を調合し、上から色を塗って隠す」という修復技術を持っています。
特に血液が酸化して黒ずんでしまった場合、生地そのものが変色していて「洗っても色が戻らない」というケースが多々あります。そんな時でも、専門店のリカラー(色補修)なら、新品同様の見た目にリカバリーできる可能性が非常に高いのです。
費用の目安とメニュー選び
クリーニングを依頼する場合の費用感と期間の目安をまとめました。「買い直すよりは安い」ケースが多いので、検討材料にしてみてください。
| メニュー | 費用の目安 | 期間の目安 | こんな場合におすすめ |
|---|---|---|---|
| 機械洗い | 500円〜1,500円 | 1週間前後 | キャンバス素材など、手軽に全体を洗いたい場合。(頑固なシミには不向き) |
| 手洗い(スタンダード) | 2,000円〜4,000円 | 2週間〜3週間 | レザーやスエードなどデリケート素材。職人がブラシで手洗いしてくれる。 |
| 特殊シミ抜き・リカラー | 5,000円〜10,000円 | 1ヶ月前後 | どうしても落ちない血液シミや、変色を修復したい場合。ハイブランド品など。 |
血液汚れの場合は、「特殊シミ抜き」のオプションが必要になることが多いです。見積もりは無料のところが多いので、まずは写真を送って相談してみるのがおすすめです。
【重要】依頼時のマナー:必ず「血液」と申告すること
クリーニング店に持ち込む際、あるいは宅配で送る際に、絶対に守らなければならないマナーがあります。 それは、「この汚れは血液によるものです」と事前に正直に申告することです。
血液は感染症のリスク(B型肝炎やHIVなど)を含む可能性があるため、クリーニング業界では取り扱いに厳格なガイドラインが存在します。通常の汚れと一緒に洗うことができず、隔離して処理する必要があるのです。
- 無断で出さない:後から血液だと分かると、作業が中断されたり、追加料金を請求されたり、最悪の場合は洗浄せずに返却されたりすることがあります。
- 断られるケースもある:店舗の設備によっては、衛生管理の観点から「血液が付着したものは一切受け付け不可」というルールを設けているところもあります。
二度手間を防ぐためにも、事前に電話やLINEなどで「スニーカーに血液のシミがついているのですが、対応していただけますか?」と確認してから依頼しましょう。
スニーカーの血の落とし方の重要ポイント

最後に、今回お話ししたスニーカーの血の落とし方について、絶対に覚えておいてほしい要点をまとめます。これさえ押さえておけば、いざという時に慌てず対処できるはずです。
- 初期対応が鍵:血液がついたら乾く前に処置を!外出先なら「炭酸水」で叩き出すのが最強の応急処置。
- 温度管理を徹底:「お湯」は血液を固める最大の敵。必ず水か、体温より少し高い程度のぬるま湯(30℃〜40℃)を使うこと。
- こすらず叩く:ゴシゴシこすると汚れが繊維に入り込む。上下からタオルで挟んで「叩いて移し取る」のが基本テクニック。
- 頑固な汚れには:時間が経った汚れには「セスキ炭酸ソーダ」のアルカリパワーや、「オキシクリーン」での40℃つけ置きが有効。
- 素材を見極める:レザーやスエードは水洗い厳禁。専用クリーナーやオキシドールを活用し、全体を濡らさないようにケアする。
- 黄ばみ防止:白いスニーカーは、すすぎの最後に「クエン酸(またはお酢)」水にくぐらせて中和すると、乾燥後の変色を防げる。
血液汚れは、時間が経てば経つほど酸化して落ちにくくなりますが、正しい知識と適切なケミカル(洗剤や漂白剤)を使えば、諦めていた汚れも驚くほど綺麗に落とせることがあります。
大切なスニーカーが汚れてしまうと気分も落ち込んでしまいますが、自分の手でケアして綺麗になった時の愛着はひとしおです。「もうダメかも」と諦めて捨てる前に、ぜひ今回ご紹介した方法を試してみてください。あなたの足元が再び輝きを取り戻すことを願っています!


