白洋舎のスニーカークリーニングに関する情報を集めているけれど、実際の料金や仕上がり日数がどのくらいなのか気になっている方は多いのではないでしょうか。特に大切なニューバランスやナイキなどのブランド靴を預けるとなると、カビや頑固な汚れが本当にきれいになるのか不安になりますよね。プロの技術に任せる安心感はあるものの、もし近くに店舗がない場合の宅配サービスの使い勝手についても知っておきたい重要なポイントです。この記事では、スニーカー好きの視点から白洋舎のサービス内容を詳しく掘り下げていきます。
- 白洋舎の靴クリーニング料金相場とコースの違い
- 店舗持ち込みと宅配サービスのメリットやデメリット比較
- 気になるカビや臭い汚れに対する実際の洗浄効果と注意点
- 自分に合った依頼方法と失敗しないための判断基準
白洋舎のスニーカークリーニング料金と特徴

創業から100年以上の歴史を持つ白洋舎ですが、実は衣類だけでなく靴のメンテナンスにも非常に力を入れているのをご存じでしょうか。「名前は聞くけど高そう」というイメージがあるかもしれませんが、コースや依頼方法によって料金は大きく変わります。まずは基本的な料金体系と、他社にはない白洋舎ならではの特徴について整理していきましょう。
白洋舎の靴クリーニング料金や値段の相場
白洋舎のスニーカークリーニングにおける料金体系は、大きく分けて「機械洗い」と「手洗い(ハンドケア)」の2つの軸で構成されています。これは単に松竹梅のコースがあるというだけでなく、「洗うプロセスそのものが根本的に異なる」と考えた方が分かりやすいでしょう。地域や店舗、運営するグループ会社(例:白洋舎のカスタムクリーニング取扱店など)によって細かな価格設定は異なりますが、私が実際にリサーチし、利用を検討する際に基準としている価格相場と、それぞれのコストパフォーマンスについて詳しく解説します。
普段履きに最適な「機械洗い」

まず、通勤・通学でガシガシ履いているキャンバススニーカーや、子供の上履き、スポーツジム用のシューズなど、耐久性のある靴に最適なのが機械洗いコースです。
こちらは全ての店舗で実施しているわけではありませんが、わりとリーズナブルな価格で利用できます。コインランドリーの靴用洗濯機スニーカーウォッシャー(200円〜300円程度)と比較すると少し高く感じるかもしれませんが、白洋舎では専用のクッション性のあるネットを使用し、プロ仕様の除菌・抗菌洗剤を用いて洗浄するため、生地へのダメージリスクが段違いに低いです。「自分で洗う手間」と「仕上がりの安心感」を天秤にかければ、圧倒的にコスパが良い選択肢と言えます。
大切な靴のための「ハンドケア(手洗い)」

一方、私たちが最も気を使うレザー(本革)やスエード素材のスニーカー、あるいはハイブランド品の場合は、熟練の職人が一点一点ブラシを使って手作業で洗浄する手洗い(ハンドケア)コースが適用されます。
こちらは機械洗いとは異なり、素材の特性を見極めた上で、最適な洗剤と力加減で汚れを落としていきます。料金は靴の状態や素材の複雑さによって変動しますが、おおよその目安は以下の通りです。
| コース区分 | 料金目安(税込) | 具体的な対象・特徴 |
|---|---|---|
| スニーカー (標準クラス) | 2,750円〜 |
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| 高級ブランド スニーカー | 4,400円〜 |
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「標準クラス」と「高級ブランドクラス」の線引きは、店舗での検品時に判断されます。基本的には、万が一の際の補償リスクが高いものや、構造が複雑で洗浄に高度な技術と時間を要するものが高級クラスに分類されると考えておけば間違いありません。
料金に含まれる「見えない技術料」

3,000円前後〜という料金設定を見て「高い」と感じる方もいるかもしれません。しかし、この料金には単に汚れを落とすだけでなく、白洋舎ならではの以下のようなメンテナンス技術が含まれています。
料金に含まれる付加価値
- オゾン水洗浄:強力な除菌・消臭効果のあるオゾン水を使用し、見えない雑菌までリセットします。
- 栄養補給・保革:レザーが硬くならないよう、洗浄工程で加脂剤(革の栄養分)を補います。
- 型崩れ防止乾燥:専用のキーパー(シューツリー)を入れて、熱によるダメージを与えないよう低温でじっくり乾燥させます。
- 簡易補色:つま先の色ハゲなど、軽微なものであれば目立たなくするケアが含まれる場合があります(全体染め直し等は別料金)。
豆知識:スニーカーか革靴かの判断 オールレザーのスニーカー(例:レザースニーカー)を出す際、「これはスニーカーですか?革靴ですか?」と迷うことがありますよね。白洋舎の場合、ソール(靴底)の形状や素材で判断されることが多いですが、革靴扱い(一般的にスニーカーより高額)になるか、スニーカー扱いになるかは受付での判断になります。「スニーカークリーニングでお願いします」と伝えて、見積もりを出してもらうのが一番確実です。
宅配や店舗持ち込みによるサービスの違い
白洋舎のスニーカークリーニングを利用するルートは、大きく分けて「近所の店舗カウンターに直接持ち込む」か、公式のネット受付である「宅配サービス(らくらく宅配便)」を利用するかの2択になります。一見すると「持ち運ぶ手間」だけの違いに見えますが、実は「対面相談の可否」と「トータルコストの構造」に大きな違いがあります。失敗しないために、ご自身の状況に合わせて賢く使い分けるポイントを解説します。
安心感とコスト重視なら「店舗持ち込み」
もしご自宅や職場の近くに白洋舎の店舗(取次店含む)があるなら、個人的には断然「店舗持ち込み」をおすすめします。その最大の理由は、受付時にスタッフさんと「仕上がりの期待値」をすり合わせられる点にあります。
スニーカークリーニングで最も多いトラブルは、「思ったよりきれいになっていない」「風合いが変わった」という認識のズレです。対面であれば、「このつま先の黒ずみは、汚れではなく擦れ(傷)なのでクリーニングでは戻りません」といった説明を事前に受けることができますし、その場で大まかな見積もり金額も分かります。また、当然ながら送料は一切かからないため、スニーカー1足だけでも純粋なクリーニング代金のみで依頼できるのが経済的です。
店舗活用のコツ 商業施設に入っている白洋舎なら、買い物のついでに預けられます。また、一部の店舗では急ぎの「クイックサービス」に対応している場合もあるので、納期を相談したい時こそ店舗へ足を運びましょう。
利便性とまとめ出しなら「宅配サービス」
一方で、近くに店舗がない場合や、忙しくて営業時間に間に合わない方には「宅配サービス(らくらく宅配便)」が強力な味方になります。スマホ一つで集荷依頼ができ、重い荷物を運ぶ必要がありません。
ただし、宅配を利用する際に絶対に理解しておくべきなのが、「送料の壁」と「見積もりのタイムラグ」です。靴は衣類と違って検品に専門知識が必要なため、品物が工場に到着してから正式な見積もりがメール等で届く流れが一般的です。そして、最も注意すべきは送料の仕組みです。
宅配利用の落とし穴と攻略法
白洋舎の宅配サービスは、基本的に衣料品では「利用金額の合計が8,800円(税込)以上」で送料無料となります(※地域により条件が異なる場合があります)。 スニーカーがこの中に含まれるかの確認がとれていませんが、2,000円〜4,000円程度のスニーカーを1足だけ依頼すると、往復送料(約2,090円〜)が加算され、実質的なコストが倍近くに跳ね上がってしまいます。
【賢い使い方はこれ!】 スニーカー単体で出すのではなく、「衣替えのタイミングで、冬物のダウンコートやスーツと一緒にスニーカーも箱に詰める」のが正解です。

これなら容易に送料無料ラインをクリアでき、衣類も靴も一度にスッキリ片付きます。
【比較表】私はこう使い分けています
結局どちらが良いのか迷ってしまう方のために、私が判断基準にしているポイントを整理しました。

| 比較項目 | 店舗持ち込み | 宅配サービス |
|---|---|---|
| 相談のしやすさ | ◎ その場で確認可 | △ メール等のやり取り |
| 1足からの依頼 | ◎ 気軽に頼める | △ 送料で割高になる |
| 大量の依頼 | △ 持ち運びが大変 | ◎ 箱に詰めるだけ |
| エリア制限 | 店舗がある地域のみ | 全国どこでも対応 |
| こんな人におすすめ |
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ニューバランスやナイキなどのブランド対応
私たちスニーカー好きにとって最も頭を悩ませるのが、異なる素材が複雑に組み合わさったスニーカーのケアです。代表的なのが、「ニューバランスの990番台」や「ナイキのエアマックスシリーズ」に多く見られる、天然皮革(スエードやヌバック)と化学繊維(メッシュやナイロン)のコンビネーションです。
これらの靴を自宅で水洗いしようとすると、「スエードの染料が溶け出して白いメッシュ部分に移染してしまった」という失敗談をよく耳にします。一度色移りしてしまうと、素人の技術で取り除くのはほぼ不可能です。
素材ごとの「洗い分け」技術

白洋舎のハンドケアコースでは、こうした異素材ミックスのスニーカーに対して、熟練の職人がパーツごとに異なるブラシと洗剤を使い分けるという非常に細やかな作業を行っています。スエード部分には革専用の栄養剤入りの洗剤を、メッシュ部分には汚れを浮き上がらせる酵素系の洗剤を、といった具合にピンポイントで洗浄するため、色移りのリスクを最小限に抑えつつ、それぞれの素材の良さを引き出すことができるのです。
ハイブランドやヴィンテージへの配慮
また、グッチやバレンシアガといったハイブランドのスニーカーや、製造から年数が経過したヴィンテージナイキなども、白洋舎が得意とする領域です。特に経年劣化で脆くなったミッドソールや、剥がれやすくなった接着面に対しては、洗浄の負荷をコントロールしながら慎重に作業が進められます。「絶対に失敗したくない一足」こそ、実績豊富な最大手に任せる安心感は何物にも代えがたいものがあります。
スエードやレザーも洗える高い洗浄技術
「革靴を水洗いするなんて信じられない」と思われるかもしれませんが、白洋舎にはそれを可能にする独自の洗浄システムがあります。その核となるのが、多くのコースで採用されている「オゾン水」の活用と、プロならではの「保革(ほかく)技術」です。
革を硬くさせない「栄養補給洗浄」
通常、レザーを水に濡らして乾燥させると、革内部の油分が抜けてバリバリに硬化したり、縮んで型崩れしたりしてしまいます。これを防ぐため、白洋舎のクリーニングでは、洗浄液の中に革に必要な「脂分(栄養)」を補給する成分が含まれています。 洗うと同時に革に潤いを与えることで、仕上がりはしっとりと柔らかく、新品のような足馴染みの良さが蘇ります。これは自宅での水洗いでは絶対に再現できない、プロだけの技術です。
スエードの風合いを取り戻す仕上げ力
汚れを落とした後の「乾燥」と「仕上げ」の工程にも大きな差が出ます。濡れたスニーカーを専用のシューキーパー(木型)に入れて成形しながら、熱によるダメージを与えないよう低温でじっくりと乾燥させます。
特にスエード素材に関しては、乾燥後に専用のブラシで丁寧に起毛させる仕上げが行われます。寝てしまっていた毛並みがふっくらと立ち上がり、発色が鮮やかになるのを見ると、単なる洗濯ではなく「メンテナンス」に出したのだと実感できるはずです。

ここが技術の見せ所! 白洋舎では、洗浄だけでなく「補色(リカラー)」の技術も持っています。つま先の色ハゲやスレ傷など、洗浄だけでは隠しきれないダメージに対して、元の色に合わせて調合した顔料で目立たなくしてくれます(※状態やコースによります)。お気に入りの靴を長く履くための、最後のひと手間が嬉しいポイントです。
はっ水加工や保管サービスのメリット

クリーニングから戻ってきたばかりのピカピカのスニーカー。「このきれいな状態を一日でも長くキープしたい」というのは、スニーカー好き共通の願いですよね。実は、白洋舎を利用する本当のメリットは、洗浄後の「オプション加工」と「保管環境」にこそあると私は考えています。単に洗うだけでは得られない、プロならではの付加価値について深掘りしてみましょう。
最強の汚れ防止策「はっ水加工」
多くの店舗で推奨されるオプションが「はっ水加工」です。料金はスニーカーの種類により660円〜1,100円(税込)程度プラスになりますが、私はこれを「保険」と考えて毎回必ずつけるようにしています。
市販の防水スプレーと何が違うの?と思われるかもしれませんが、決定的な違いは「定着力」と「均一性」です。洗浄直後の汚れがない状態で、繊維の一本一本にムラなく加工剤を浸透・定着させるため、市販のスプレーよりも効果が長持ちします。 また、白洋舎の技術で特筆すべきは、通気性を損なわない点です。ゴアテックスなどの機能素材や、蒸れやすいメッシュ素材の通気孔を塞ぐことなく、水や油だけを弾くコーティングを施してくれます。
はっ水加工の3つのメリット
- 防汚効果:雨だけでなく、泥ハネや食べこぼし、路上の油汚れなどが繊維の奥に染み込むのを防ぎます。
- メンテナンス性:表面についた埃や汚れをサッと払い落とせるようになるため、日頃のお手入れが格段に楽になります。
- 寿命延長:水分による加水分解やシミのリスクを減らし、結果としてスニーカーの寿命を延ばします。
靴の寿命を左右する「保管サービス」
もう一つ、ぜひ活用してほしいのが「保管サービス」です。これは、クリーニングした靴をそのまま次のシーズンまで預かってくれるサービスです(※実施店舗やコースによります)。
日本の夏は高温多湿で、下駄箱の中はスニーカーにとって最悪の環境になりがちです。特に湿気は、スニーカーの天敵である「カビ」や、ソールがボロボロになる「加水分解」を加速させる最大の要因です。 白洋舎の保管ルームは、衣類や靴に適した温度・湿度が24時間体制で厳格に管理されています。自宅のクローゼットでは再現できない理想的な環境で休ませることは、大切なコレクションを守るための最も確実な手段と言えるでしょう。
こんな使い方がおすすめ 冬に履いたブーツや厚手のハイカットスニーカーを春に預け、秋に受け取るというサイクルを作ると、玄関がスッキリ片付くだけでなく、久しぶりに再会した時に「新品のような状態」ですぐに履き出せます。収納スペースに悩んでいる方には一石二鳥のサービスです。
白洋舎のスニーカークリーニングの日数やカビ除去
料金と特徴が分かったところで、次に気になるのは「どのくらいで戻ってくるのか(納期)」と、一番の悩みである「カビや臭い」への効果ですよね。ここでは、実際の利用シーンを想定して、納期やトラブル回避のためのポイントを解説します。
仕上がりまでの日数と急ぎの対応
イベントや旅行に合わせてスニーカーをきれいにしたい場合、最も気になるのが「納期」ですよね。結論から言うと、白洋舎のスニーカークリーニングは、一般的な衣類のクリーニングよりも「時間がかかる」と思っておいた方が安全です。なぜなら、靴は衣類のように高温で一気に乾燥させることができず、型崩れを防ぐために自然乾燥に近い低温乾燥が必要だからです。
依頼方法によって仕上がり日数は大きく異なるため、計画を立てる際の目安となる詳細なスケジュール感を解説します。
【店舗持ち込み】約1週間〜10日

近隣の店舗へ直接持ち込む場合、通常であれば「約1週間」で仕上がります。これが最短のルートです。ただし、以下の要素によって日数が延びる可能性があります。
- 繁忙期の影響:衣替えシーズン(4月〜6月、10月〜11月)は工場が混雑するため、通常より数日〜1週間程度長くかかることがあります。
- 特殊なシミ抜き・修理:通常の洗浄だけでなく、カビ取りや補色、ほつれの修理などが必要な場合は、追加で1週間程度の期間を要するケースがあります。
【宅配サービス】約2週間〜3週間
宅配サービス(らくらく宅配便)を利用する場合は、配送や事務手続きの時間が加わるため、店舗よりも大幅に時間がかかります。スケジュールの内訳はおおよそ以下の通りです。
- 配送期間(往復):約2〜4日
- 検品・見積もり期間:工場到着後、約3〜5日
- クリーニング作業期間:約1週間〜10日
宅配利用時の「見積もり承認」に注意! 宅配の場合、工場で検品が行われた後に「確定料金のお知らせ(見積もり)」がメール等で届きます。この見積もりに対して利用者が「承認」の連絡をするまでクリーニング作業は開始されません。メールに気づかずに数日放置してしまうと、その分だけ納期が遅れてしまうので、申し込み後はこまめにメールチェックをしましょう。
「急ぎ」に対応できるのか?
「今週末に使いたいから、明日までに仕上げて!」というような超特急の依頼は、残念ながらスニーカークリーニングでは難しいのが現実です。
衣類であれば即日仕上げ(クイックサービス)が存在しますが、スニーカー、特にレザーやスエード素材の靴は、急激に熱を加えて乾燥させると革が縮んだり、ソールが変形したりする致命的なダメージを負ってしまいます。白洋舎が時間をかけるのは、「素材を傷めないために、あえて時間をかけて低温で乾燥させているから」とも言えます。
納期短縮のコツ どうしても急ぎたい場合は、宅配ではなく必ず「店舗」に持ち込み、受付のスタッフさんに具体的な希望日を伝えて相談してください。工場の稼働状況によっては、通常の範囲内で最短の日程を案内してくれる可能性があります。ただし、「品質最優先」のため、無理な短縮は断られることもあると心得ておきましょう。
頑固なカビ汚れや臭いへの洗浄効果
久しぶりに履こうと思って箱を開けたら、白い綿毛のようなカビがびっしり……。あるいは、雨の日に履いてそのままにしていたスニーカーから、雑巾のような生乾き臭が漂ってくる。スニーカー好きにとって、これほど絶望的な瞬間はありませんよね。
正直なところ、一度発生してしまったカビや染み付いた臭いは、ファブリーズなどの市販スプレーや天日干し程度では太刀打ちできません。しかし、ここで諦めて捨ててしまう前に試してほしいのが、白洋舎の専門的なクリーニングです。
ニオイの元を断つ「オゾンの分解力」

白洋舎がなぜこれほど「臭い」に強いと言われるのか。その秘密は、多くのコースで標準採用されている「オゾン(O3)」の活用にあります。
一般的な消臭スプレーが「香料で臭いを上書きして誤魔化す(マスキング)」のに対し、オゾンには「臭いの原因物質そのものを酸化分解して無臭化する」という科学的な作用があります。 白洋舎では、オゾンガスを充満させた空間での乾燥や、オゾンを溶け込ませた水での洗浄を行うことで、靴の繊維の奥深くに潜むバクテリアや雑菌にアプローチします。実際に私も利用したことがありますが、戻ってきた靴に顔を近づけても、あの嫌な酸っぱい臭いが消えていて驚きました。
こんな臭いに効果的
- 汗や皮脂が酸化した独特の臭い
- 雨に濡れた後の生乾き臭(雑菌臭)
- 下駄箱特有のカビっぽい臭い
カビは「菌」と「シミ」で分けて考える
カビ対策については、正しい期待値を持つことが非常に重要です。プロのクリーニングにおけるカビ除去は、「衛生的な除去(除菌)」と「見た目の回復(シミ抜き)」の2段階で考えます。
まず、衛生面に関しては、白洋舎の洗浄とオゾン処理によってカビ菌を死滅させ、胞子を洗い流すことが可能です。これにより、他の靴にカビが移ったり、アレルギーの原因になったりするリスクをリセットできます。
一方で、難しいのが「見た目の回復」です。ここには限界があります。
カビによる「色素沈着」の真実 表面にふわふわと付いた「白カビ」であれば、クリーニングできれいに落ちることが多いです。 しかし、革の繊維の奥深くまで根を張り、黒や赤に変色させてしまった「黒カビ・赤カビ」による色素沈着(シミ)は、プロの技術でも完全に消すことは困難です。これはカビが排出する酵素によって、革の組織そのものが変質・染色されてしまっているためです。
「カビ菌はいなくなったけれど、黒い点々は薄く残ってしまった」という結果になる可能性も十分にあります。それでも、衛生的に履ける状態に戻せることには大きな価値があります。カビを見つけたら、色素が定着してしまう前に、1日でも早くプロに相談することが最善の策です。
劣化による破損リスクと事前の検品
プロのクリーニング技術は魔法ではありません。どんなに丁寧に手洗いをしたとしても、スニーカーという物質が本来持っている「寿命(経年劣化)」を巻き戻すことは不可能です。特に、クローゼットの奥で数年間眠っていたスニーカーや、久しぶりにコレクションから引っ張り出してきた靴をクリーニングに出す際には、避けて通れない重大なリスクが存在します。トラブルを未然に防ぐために、私たちが知っておくべき「靴の寿命」と「検品」について詳しく解説します。
スニーカーの天敵「加水分解」の正体
スニーカー愛好家の間で最も恐れられている現象、それが「加水分解(かすいぶんかい)」です。これは、ナイキのエアマックスや多くのハイテクスニーカーのミッドソール(クッション部分)に使用されている「ポリウレタン」等の素材が、空気中の水分と化学反応を起こし、ボロボロに崩壊してしまう現象を指します。
厄介なのは、「見た目は新品同様でも、内部で劣化が進行している」ケースが非常に多いことです。普段履いているときはソールの形を保っていても、クリーニングの過程で「水に浸す」「ブラシで擦る」「脱水する」といった物理的な負荷が加わった瞬間に、ソールが粉々に砕け散ったり、アウトソールがベロンと剥がれ落ちたりすることがあります。これは洗浄ミスではなく、素材の寿命による不可抗力であり、誰にも止めることはできません。

加水分解リスクが高い靴の特徴
- 製造から3年〜5年以上経過しているスニーカー
- 高温多湿な場所(日本の一般的な下駄箱など)で長期保管していた靴
- 一度も履かずに保管していた「観賞用」のコレクション
- ウレタンソールを使用しているモデル(NIKE Air Max、New Balanceの一部など)
白洋舎の「検品力」が事故を防ぐ
こうした悲劇的なトラブルを未然に防ぐため、白洋舎では受付時および工場到着時に、熟練スタッフによる極めて厳しい検品が行われます。この「検品力」こそが、最大手の信頼の証でもあります。
もし検品段階で「加水分解の兆候がある」「接着剤の効力が失われている」と判断された場合、以下のどちらかの対応が取られます。
- クリーニング不可として返却:「洗うことで破損する確率が極めて高い」と判断された場合、お客様の大切な思い出の品を壊さないために、勇気を持って作業をお断りするケースです。
- リスク承諾(免責)の上での作業:「破損しても補償はできない」という条件(リスク承諾)に同意いただいた上で、可能な限り負荷をかけずに優しく洗うパターンです。
「せっかく持っていったのに断られた」と感じるかもしれませんが、これは無理に引き受けて取り返しのつかない状態になることを避けるための、プロとしての誠実な判断なのです。
万が一の時の「補償」と「免責」の境界線
それでも万が一、クリーニング中にスニーカーが破損してしまった場合、それが「店の過失」なのか「靴の寿命」なのかによって補償の有無が変わります。
クリーニング業界には、トラブル解決の公正な指針となる「クリーニング事故賠償基準」という統一ルールが存在します。この基準では、経年劣化や素材の寿命(ポリウレタンの加水分解など)によって生じた破損については、クリーニング店側は賠償責任を負わない(免責)と明確に定められています。 つまり、古い靴を出す際は、「もし壊れて戻ってきても、それは靴の寿命だったと諦める」という覚悟を持って依頼する必要があります。
(出典:全国生活衛生営業指導センター『クリーニング事故賠償基準』)
出す前のセルフチェックリスト 店員さんに相談する前に、ご自身でも以下のポイントを確認してみましょう。
- □ ソールを指で押したとき、弾力がなく沈みっぱなしにならないか?
- □ ソールの表面がベタベタしていたり、白い粉が吹いたりしていないか?
- □ アッパーとソールの接着面に隙間や浮きがないか?
これらに該当する場合は、クリーニングではなく「スニーカー修理専門店」でのソール交換(リソール)を検討した方が良いかもしれません。
料金が高いと感じる場合の判断基準
正直なところ、スニーカーのクリーニング代に3,000円〜4,000円というのは、決して安い金額ではありません。ファストファッションブランドなら新品のスニーカーが買えてしまう値段ですし、「たかが洗濯にそこまで?」と躊躇してしまうのは当然の心理だと思います。私自身も、すべての靴を白洋舎に出しているわけではありません。
では、私はどのような基準で「プロに頼む靴」と「自分で洗う靴」を線引きしているのか。数々の失敗を経てたどり着いた、損をしないための判断基準をシェアします。
1. 「代替不可能性(代わりがあるか)」で考える
最もシンプルな基準は、「その靴をダメにした時、同じものをすぐに定価で買い直せるか?」という点です。
- 買い直せる靴:どこでも売っている定番のキャンバススニーカーや、履きつぶすつもりで購入した安価な靴なら、自宅洗いで十分です。万が一失敗しても、買い替えれば済みます。
- 買い直せない靴:もう販売していない限定モデル、プレ値がついているレアスニーカー、定価3万円以上のハイブランド靴。これらは「失敗=資産の消失」を意味します。自分で洗ってスエードを色落ちさせてしまい、数十万円の価値をゼロにしてしまうリスクを考えれば、数千円のクリーニング代は「安すぎる保険料」と言えます。
2. 「失敗コスト」との天秤
「自分で洗えばタダ」と思いがちですが、そこには見えないリスクコストが潜んでいます。特にレザーやスエード素材は、水洗いの難易度が非常に高いです。
もし自分で洗って、「生乾き臭が取れなくなった」「革が縮んで履けなくなった」「色移りしてしまった」という事態になったらどうでしょう?結局その靴を捨てて新しい靴を買うことになれば、結果的に数万円の出費になります。「失敗して買い直すリスク」を回避するための必要経費と捉えられるかどうかが、判断の分かれ目です。
私の「白洋舎行き」判断リスト

迷ったときは、以下のチェックリストに当てはめてみてください。1つでも当てはまるなら、白洋舎にお願いする価値が十分にあります。
| 白洋舎に出すべき靴(投資対象) | 自分で洗ってもいい靴(消費対象) |
|---|---|
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メンテナンスとは「寿命を買う」こと
白洋舎に出すということは、単に表面の汚れを落とすだけでなく、「保革(栄養補給)」「型崩れ補正」「除菌」という総合的なメンテナンスを受けることと同義です。
定期的にプロのメンテナンスを受けることで、お気に入りの靴の寿命が2年、3年と延びると考えてみてください。1年あたりに換算すれば、コストは微々たるものです。「愛着のある靴を、最良の状態で長く履き続けるための投資」と考えれば、その金額にも納得がいきますし、ピカピカになって戻ってきた靴を見た時の満足感は、何物にも代えがたいものがありますよ。
白洋舎のスニーカークリーニングがおすすめな人
ここまでの内容をまとめると、白洋舎のスニーカークリーニングは以下のような方に特におすすめできます。
- 「絶対に失敗したくない」高級スニーカーや大切な限定モデルを持っている人
- 自分で洗う手間や時間を節約したい、忙しいビジネスパーソン
- 頑固な足の臭いやカビに悩んでいて、しっかり除菌したい人
- 衣替えのタイミングで、保管サービスも併用してクローゼットを整理したい人
もしあなたの大切なスニーカーが汚れてしまっているなら、一度プロの手を借りてみてはいかがでしょうか。驚くほどきれいになって戻ってきた靴を見ると、また履いて出かけるのが楽しみになりますよ。


