Vansの新しい上位ラインとして登場したPremium、その美しい佇まいに惹かれている方も多いはずです。でも、購入前に「Vans Premiumは壊れやすいのではないか」と不安を感じて検索している方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。決して安い買い物ではないので、すぐにダメになってしまったらどうしようと心配になるのは当然です。実は、Vans PremiumとSkateの違いや、前身であるVaultとの違いを正しく理解することで、その「壊れやすさ」の正体が見えてきます。また、少し特殊なサイズ感や、新しく採用されたVans Sola Foam ADCというインソールの特性を知っておくことも、長く履くためには非常に重要です。この記事では、長年のVansファンである私が、実際の着用感や構造的な視点を交えて、その評判の真実をお伝えします。

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- 壊れやすいと言われる構造的な理由と、開発者が意図したデザインの背景
- 耐久性を最優先にする人が知っておくべきSkateラインとの決定的な違い
- 愛用者が実践している、新品の状態から長持ちさせるためのメンテナンス術
- 自分のライフスタイルに合った正しいモデルとサイズの選び方
Vans Premiumが壊れやすい理由と構造の真実

なぜ「Premium」という名前がついているのに、「壊れやすい」という評判が立ってしまうのでしょうか。それは品質が低いからではありません。実は、ヴィンテージの再現と極上の履き心地を追求した結果、物理的に耐久性とトレードオフになってしまった構造上の理由があるのです。ここでは、その具体的な原因を深掘りしていきます。
Vans PremiumとSkateの耐久性の違い
まず一番最初に知っておいていただきたいのが、Vansには大きく分けて「見た目と快適性を重視したライフスタイルライン」と「競技での使用を前提としたプロスケートライン」の2つが存在するという事実です。今回取り上げているPremiumは完全に前者に属し、対するSkate Classics(旧Proシリーズ)は後者に属します。
正直なところ、耐久性という一点だけで比較すれば、Skateラインの方が圧倒的に、そして劇的に頑丈です。これはもう、構造レベルで全く別の靴だと言っても過言ではありません。Skateラインは、粗い紙やすりのようなデッキテープの上で激しく擦られ、高いところから着地する衝撃に耐えるために設計されています。そのため、「DURACAP(デュラキャップ)」という特殊なラバーの補強材が、キャンバス生地の下、特につま先部分にしっかりと仕込まれています。もし表面のキャンバスが破れても、その下からこのラバーの層が出てきて穴が開くのを防いでくれるのです。いわば「戦車」のような多重装甲の作りになっています。

さらに、アウトソールのゴムの質も違います。Skateラインには「SickStick(シックスティック)」と呼ばれる、粘り気が強く摩耗に極めて強い独自の配合ラバーが使われています。これに対して、Vans PremiumにはDURACAPのような下地補強は入っていませんし、アウトソールも昔ながらのクラシックな配合に近いものが使われています。これは、Premiumが1990年代のアメリカ製Vansのディテールや雰囲気を忠実に再現し、あくまで街履きとしてのファッション性と快適さを優先しているためです。
この根本的な設計思想の違いが、ハードに履いた時の「壊れやすさ」の差として現れているのです。「Premiumだから高い素材を使っている=丈夫だろう」と誤解されがちなのですが、実際には「Premium=贅沢な仕様=繊細」と捉える方が正しいでしょう。高級なシルクのシャツが、作業用のデニムシャツより破れやすいのと同じ理屈です。
ここがポイント 「とにかく丈夫な靴が欲しい」「自転車のペダルやスケボーでガシガシ使いたい」という方は、Premiumではなく迷わずSkateラインを選ぶのが正解です。用途が全く異なることを理解しておきましょう。
Vans PremiumとVaultの違いと品質
長年のファンの方なら、「Vault(ボルト)」ラインをご存知かと思います。セレクトショップなどで限定展開されていたあの上位ラインです。Vans Premiumは、2023年末に終了したこのVaultの実質的な後継ラインという位置付けになります。
では、Vaultと比較して「品質が落ちて壊れやすくなったのか?」と聞かれると、私は決してそうは思いません。むしろ縫製のピッチや接着の精度などは現代的にアップデートされており、工業製品としてのクオリティは安定していると感じます。しかし、仕様変更によって「生地が薄くなった」「頼りなくなった」と感じるユーザーがいるのも事実です。
具体的に何が変わったかというと、まずアッパーのキャンバス生地です。Vault時代も厚手のキャンバスを使っていましたが、Premiumでは8オンスや10オンスといった、ヴィンテージの風合いを重視した特定の厚みのキャンバスが採用されています。また、履き口のパイピング(縁取り)の処理や、全体のシルエットを作り出す「ラスト(木型)」も刷新されました。これにより、全体的にシャープで細身な、より1990年代のオリジナルに近い見た目になっています。
このシャープなシルエットは見た目に美しい反面、足を入れた時の「包まれ感」がVault特有のボッテリとした重厚感とは異なります。また、Vault時代よりもインソールが劇的に進化して履き心地が柔らかくなった反面、昔ながらの「ガシッとした硬いゴムの塊のようなVans」を好む古参のファンからは、「柔らかすぎて剛性感が足りない」「すぐにヘタりそう」と感じられることもあるようです。これは品質の良し悪しというよりは、目指している方向性が「重厚感」から「洗練と快適性」へとシフトしたことによる、好みの問題が大きい部分だと私は分析しています。
Vans Sola Foam ADCによる負荷の影響
ここからは少しマニアックですが、構造的な話をさせてください。Premiumライン最大の特徴であり、最大の売りでもあるのが、新開発のインソール「Vans Sola Foam ADC」です。これ、実際に足を通してみるとわかるのですが、本当にふかふかで、まるで雲の上を歩いているかのように疲れにくいんです。
メーカーの公式情報によると、このフォームは成分の30%が植物由来で作られており、環境負荷を低減しながら高反発なクッション性を実現しているとのことです。(出典:VANS PREMIUM | ヴァンズジャパン公式オンラインストア) しかし、実はこの「ふかふかで沈み込みが良い」という長所が、逆説的に靴本体への物理的な負荷を大きくしている可能性があります。
どういうことか説明しましょう。従来の硬いインソールや、安価なClassicラインの薄いインソールの場合、歩行時に体重がかかっても足があまり沈み込まないため、靴底(ソール)もそこまで大きくは湾曲しません。しかし、Sola Foam ADCのように柔らかく沈み込むインソールの場合、一歩踏み出すたびに踵が沈み、踏み返しでつま先部分が深く曲がります。つまり、歩行時の「屈曲の深さ(角度)」が深くなるのです。
インソールと屈曲の関係 インソールが柔らかく沈み込むと、歩くたびに足が深く曲がります。すると、アッパー(甲の布)とソール(底のゴム)の接合面であるサイドテープ部分に、これまで以上の強い引張応力(引っ張られる力)がかかってしまうのです。

硬いインソールの時はそこまで曲がらなかった部分が、グニャリと大きく曲がるようになったことで、接着面に繰り返し強い負荷がかかりやすくなっている。これが、Premiumラインで「サイドテープが割れたり剥がれたりしやすい」と言われる一つの構造的な要因だと私は考えています。快適性を取れば負荷が増し、耐久性を取れば硬くなる。このジレンマはスニーカー設計の永遠の課題かもしれません。
光沢仕上げによるサイドテープの剥離

Vans Premiumの外見上の大きな特徴として、サイドテープ(ソールの周りのゴム)がツヤツヤと輝いていますよね。これはアーカイブモデルを再現した「グロス加工」なのですが、これがまた耐久性の面では少々厄介な要素を含んでいます。
通常、接着剤というのは、接着する面の表面が少しザラザラしていた方が「アンカー効果」といって、凹凸に接着剤が入り込んで強力にくっつきます。しかし、Premiumラインのサイドテープは、美しさを優先して表面を非常に滑らかに仕上げています。もちろん、接着面にはプライマー処理などの対策が施されているはずですが、物理的な理屈で言えば、表面がマットでザラザラしているモデルに比べて、どうしても接着剤の食いつきや、経年劣化による剥離耐性は不利になる傾向があります。
さらに、先ほどお話しした「Sola Foam ADCによる深い屈曲負荷」がここに加わります。滑らかな表面同士の接着箇所を、歩くたびに強く折り曲げ続けるわけです。その結果、屈曲部分(親指や小指の付け根あたり、専門用語でボールジョイントと呼ばれる部分)のテープが、比較的早い段階でプカプカと浮いてきたり、亀裂が入ったりしやすくなってしまうのです。
ただ、これは不良品というよりは、「1990年代のアメリカ製Vansの仕様を忠実に再現したら、当時のスニーカーが持っていた弱点も一緒に再現されてしまった」という表現が正しいかもしれません。当時のスニーカーも、今の基準で考えれば接着は弱く、すぐに剥がれるものでした。このヴィンテージ特有の「あそび」や「手のかかる感じ」も含めて愛せるかどうかが、Premiumラインを楽しむための重要な鍵になりそうです。
繊細なライニング素材と内側の摩耗
「外側は綺麗なのに、内側のかかと部分が破れてきた」「小指のところが内側から擦り切れた」という声もよく耳にします。通常の安価なClassicモデルのVansは、内側のライニング(裏地)にも粗いキャンバスや、耐久性の高い合成繊維を使っており、感触はガサガサしていますが丈夫です。
対してPremiumラインは、「洗練されたフィット感」や「足入れの良さ」を重視しています。そのため、内側のライニングには細番手の糸を高密度に織った生地や、部分的に滑らかなスムースレザー(合成皮革含む)を使用しています。これにより、足を入れた瞬間の「スルッ」とした気持ち良さは格別なのですが、摩擦に対する物理的な強度は、ゴワゴワした厚手の素材に比べるとどうしても劣ります。
特に問題になりやすいのが、サイズ選びを間違えているケースです。Premiumは後述するようにサイズ感が少し大きめです。もしサイズが緩くて靴の中で足が動いてしまうと、歩くたびに踵や小指が内側の繊細な生地をヤスリのように擦り続けてしまいます。これが数千回、数万回と繰り返されることで、比較的早い段階で内側の生地が薄くなり、穴が空いてしまうのです。これを防ぐには、素材の特性を理解した上で、靴の中で足が遊ばないようなフィッティングを心がけることが不可欠です。
Vans Premiumが壊れやすい悩みの解決策
ここまで読んで「やっぱり買うのをやめようかな」と思った方、ちょっと待ってください! 構造上の弱点がわかっていれば、対策は十分に可能です。ここからは、私が実践している「Premiumを長く愛用するためのコツ」をご紹介します。
Vans Premiumのサイズ感と破損の関係
Vans Premiumを長持ちさせるために一番重要なのは、実は「サイズ選び」です。これを間違えると、どんなに丁寧に履いてもすぐに内側から壊れていきます。
このPremiumモデル、従来のClassicラインやSkateラインに比べて、全体的に少し大きめ(特に縦の長さ)に作られているという特徴があります。これは、使用しているラスト(木型)が、現代の一般的なものよりも細長く、捨て寸(つま先の余裕)を長く取る設計になっているためです。さらに、ヒールカップ(かかと部分)が少し広めの設計になっているため、ホールド感が緩く感じられることがあります。
そのため、いつものVansと同じ感覚でサイズを選ぶと、「かかとが浮く」「つま先が余りすぎて歩くたびに靴が折れ曲がる」という現象が起きやすくなります。靴の中で足が前後に動いてしまうと、内側のライニングが擦れて破れる最大の原因になります。また、必要以上に靴が屈曲することで、サイドテープへの負荷も倍増し、ソール剥がれも起きやすくなります。
サイズミスのリスク 「大は小を兼ねる」と言いますが、Vans Premiumに関しては大きすぎるサイズは靴の寿命を縮めます。ジャストフィットこそが最強の耐久性アップ術です。

私は普段VansのClassicラインで27.0cmを履いていますが、Premiumに関してはハーフサイズ下げて26.5cmを選ぶこともあります。もし通販などで購入して「少し大きいな」と感じた場合は、厚手の靴下で調整するか、紐をギュッと強めに締めて足を完全に固定するスタイル(デカ履き紐締め)を徹底してください。中途半端に緩く履くのが、一番靴を傷めます。
新品時に行うシューグーでの補強術
「Vans Premiumのサイドテープが剥がれてきたらどう修理すればいいですか?」という質問をよくいただきますが、私の持論は少し違います。「剥がれてから直す」のではなく、「剥がれる前に対策してしまえばいい」のです。特に構造上、屈曲部の剥離が起きやすいPremiumラインにおいて、この「予防保全」は劇的な効果を発揮します。
ここで最強の味方となるのが、スケーターたちの必須アイテム「シューグー(SHOE GOO)」です。通常は削れたカカトの補修などに使われますが、実は新品の補強材としても極めて優秀です。ただし、ただ塗ればいいというわけではありません。美観を損ねず、かつ確実に効果を出すための「プロ仕様の塗布テクニック」を伝授しましょう。
なぜ「瞬間接着剤」ではダメなのか?
まず最初にお伝えしたいのが、絶対にアロンアルファなどの「瞬間接着剤」を使わないでくださいという点です。瞬間接着剤は硬く固まる性質があるため、Vansのように歩くたびに激しく曲げ伸ばしされる靴に使うと、固まった接着剤自体がパキッと割れてしまい、余計に傷口を広げる原因になります。
対してシューグーは、乾燥すると「強靭なゴム」に変化します。このゴム特有の弾力性と柔軟性が、Premiumラインの柔らかいインソールによる深い屈曲にもしっかりと追従し、剥がれを防いでくれるのです。
失敗しないための「シーリング(目止め)」手順
私が新品のPremiumを購入した際、必ず行っている儀式があります。それは「盛る」のではなく、アッパーとサイドテープの境界線を「シーリング(目止め)」する作業です。必要な道具と手順は以下の通りです。
用意するもの
- シューグー(自然色/ナチュラル):クリアタイプを選んでください。黒や白よりも目立ちにくく、経年変化にも馴染みます。
- マスキングテープ:100円ショップのものでOK。
- 爪楊枝:細かい作業に必須です。
- アルコールティッシュ:塗布前の脱脂に使います。

【実践ステップ】
- 脱脂(超重要):新品のゴム表面には離型剤や油分が残っていることがあります。塗布する予定の「屈曲部(親指と小指の付け根付近)」をアルコールティッシュでしっかり拭き、乾燥させます。これをサボるとすぐに剥がれます。
- マスキング:アッパー(キャンバス側)とサイドテープ(ゴム側)の境目ギリギリを狙って、上下にマスキングテープを貼ります。わずか1〜2mmの隙間を開けるイメージです。
- すり込み塗布:爪楊枝の先に少量のシューグーを取り、境目に「塗る」というより「擦り込む」感覚で薄く伸ばします。厚塗りは厳禁です。段差ができないよう、薄い被膜を作ることに集中してください。
- 即テープ剥がし:シューグーが乾き始める前に、すぐにマスキングテープをゆっくり剥がします。乾いてから剥がすと、コーティングまで一緒に持っていかれます。
- 完全乾燥:最低でも24時間、できれば48時間は風通しの良い日陰で放置して硬化させます。
この作業の効果 この「薄いゴムの被膜」が境目を覆うことで、物理的な接着強度が上がるだけでなく、剥がれの原因となる「水・砂・埃」の侵入をシャットアウトできます。
「新品の靴に接着剤を塗るなんて」と最初は抵抗があるかもしれません。しかし、透明タイプをごく薄く施工すれば、至近距離で見ない限りほとんど分かりません。このわずか10分の作業で、「いつ剥がれるか」という不安から解放され、Premiumをガシガシ履けるようになるのですから、やらない手はありません。剥がれてから汚く修理するよりも、剥がれないように美しく予防する。これがVans Premiumを賢く楽しむコツです。
繊維劣化を防ぐ防水スプレーの活用
「キャンバススニーカーの内側が破れるのはサイズ感の問題」とお話ししましたが、では外側のキャンバス生地が破れたり穴が空いたりするのはなぜでしょうか? 実は、その原因の多くは「物理的な外からの擦れ」だけでなく、「繊維に入り込んだ汚れによる劣化」にあることをご存知でしょうか。
目に見えないレベルの細かい砂埃や泥の粒子がキャンバスの太い繊維の隙間に入り込むと、それらが歩くたびに繊維同士の間でヤスリのように作用します。Vans Premiumは歩きやすさを追求して柔らかく作られているため、歩行時の屈曲(曲げ伸ばし)回数が多く、そのたびに繊維の奥に入り込んだ微粒子が「マイクロナイフ」のように繊維を少しずつ切断していくのです。これが、外側の生地がボロボロになったり破れたりする隠れたメカニズムです。

この「見えない破壊活動」を防ぐための最強の武器が、実は「防水スプレー」なんです。「雨の日に履かないから関係ない」と思っている方、それは非常にもったいない誤解です。防水スプレーの本質的な役割は、水を弾くだけでなく、油汚れやホコリを繊維に付着させにくくする「防汚コーティング」にあるからです。
Vansには絶対に「フッ素系」を選ぶべき理由
ただし、ドラッグストアで適当に防水スプレーを買うのはNGです。防水スプレーには大きく分けて「シリコン系」と「フッ素系」の2種類がありますが、Vans Premiumのキャンバス素材には、必ず「フッ素系」を選んでください。
| 種類 | 特徴 | Vans Premiumへの適性 |
|---|---|---|
| シリコン系 | 表面に膜を張って水を弾く。安価だが通気性が失われ、キャンバスの風合いが変わる(シミになる)リスクがある。 | × 推奨しません |
| フッ素系 | 繊維の一本一本をコーティングする。通気性を保ったまま水や油を弾くため、蒸れにくく風合いも損なわない。 | ◎ 絶対におすすめ |
注意点 シリコン系を使うと、キャンバスの通気性が損なわれ、靴の中が蒸れやすくなってしまいます。また、Premium特有の上質な生地感が、シリコンの皮膜で安っぽくテカってしまうこともあるので避けた方が無難です。
効果を最大化する「正しいプロテクト手順」
私が実践している、Premiumを長く綺麗に保つためのスプレー手順をご紹介します。新品を下ろす直前がベストタイミングですが、すでに履いている靴でも汚れを落としてから行えば効果絶大です。
- 1. 必ず屋外で行う:吸い込むと有害なので、必ず風通しの良い屋外で使用します。
- 2. 30cmほど離して薄くかける:至近距離で一点に集中させるのではなく、全体にフワッと霧がかかるようにスプレーします。
- 3. 「薄く重ね塗り」が鉄則:一度で済ませようとせず、「全体に薄くかける→15分乾燥→もう一度薄くかける」という2度塗りが最も効果的です。
- 4. 紐(シューレース)も忘れずに:紐を外してスプレーしておくと、紐の黒ずみ汚れも驚くほど防げます。
そして、履いた後は定期的に馬毛ブラシなどでササッとホコリを払ってください。スプレーでコーティングされているため、軽く払うだけで汚れが落ちやすくなっています。この「スプレーによる防御」と「ブラッシングによる除去」のサイクルを作るだけで、キャンバス生地の寿命は劇的に伸び、Premiumの美しい佇まいを長く楽しむことができますよ。
繊維劣化を防ぐ防水スプレーの活用
「キャンバススニーカーの内側が破れるのはサイズ感の問題」とお話ししましたが、では外側のキャンバス生地が破れたり穴が空いたりするのはなぜでしょうか? 実は、その原因の多くは「物理的な外からの擦れ」だけでなく、「繊維に入り込んだ汚れによる劣化」にあることをご存知でしょうか。
目に見えないレベルの細かい砂埃や泥の粒子がキャンバスの太い繊維の隙間に入り込むと、それらが歩くたびに繊維同士の間でヤスリのように作用します。Vans Premiumは歩きやすさを追求して柔らかく作られているため、歩行時の屈曲(曲げ伸ばし)回数が多く、そのたびに繊維の奥に入り込んだ微粒子が「マイクロナイフ」のように繊維を少しずつ切断していくのです。これが、外側の生地がボロボロになったり破れたりする隠れたメカニズムです。
この「見えない破壊活動」を防ぐための最強の武器が、実は「防水スプレー」なんです。「雨の日に履かないから関係ない」と思っている方、それは非常にもったいない誤解です。防水スプレーの本質的な役割は、水を弾くだけでなく、油汚れやホコリを繊維に付着させにくくする「防汚コーティング」にあるからです。
Vansには絶対に「フッ素系」を選ぶべき理由
ただし、ドラッグストアで適当に防水スプレーを買うのはNGです。防水スプレーには大きく分けて「シリコン系」と「フッ素系」の2種類がありますが、Vans Premiumのキャンバス素材には、必ず「フッ素系」を選んでください。
| 種類 | 特徴 | Vans Premiumへの適性 |
|---|---|---|
| シリコン系 | 表面に膜を張って水を弾く。安価だが通気性が失われ、キャンバスの風合いが変わる(シミになる)リスクがある。 | × 推奨しません |
| フッ素系 | 繊維の一本一本をコーティングする。通気性を保ったまま水や油を弾くため、蒸れにくく風合いも損なわない。 | ◎ 絶対におすすめ |
注意点 シリコン系を使うと、キャンバスの通気性が損なわれ、靴の中が蒸れやすくなってしまいます。また、Premium特有の上質な生地感が、シリコンの皮膜で安っぽくテカってしまうこともあるので避けた方が無難です。
効果を最大化する「正しいプロテクト手順」
私が実践している、Premiumを長く綺麗に保つためのスプレー手順をご紹介します。新品を下ろす直前がベストタイミングですが、すでに履いている靴でも汚れを落としてから行えば効果絶大です。
- 1. 必ず屋外で行う:吸い込むと有害なので、必ず風通しの良い屋外で使用します。
- 2. 30cmほど離して薄くかける:至近距離で一点に集中させるのではなく、全体にフワッと霧がかかるようにスプレーします。
- 3. 「薄く重ね塗り」が鉄則:一度で済ませようとせず、「全体に薄くかける→15分乾燥→もう一度薄くかける」という2度塗りが最も効果的です。
- 4. 紐(シューレース)も忘れずに:紐を外してスプレーしておくと、紐の黒ずみ汚れも驚くほど防げます。
そして、履いた後は定期的に馬毛ブラシなどでササッとホコリを払ってください。スプレーでコーティングされているため、軽く払うだけで汚れが落ちやすくなっています。この「スプレーによる防御」と「ブラッシングによる除去」のサイクルを作るだけで、キャンバス生地の寿命は劇的に伸び、Premiumの美しい佇まいを長く楽しむことができますよ。
Vans Premiumが壊れやすいかどうかの結論
最後に、私なりの結論をお伝えします。Vans Premiumは「壊れやすい」のではなく、「繊細な高級車」のようなものです。
Skateラインが「悪路をガンガン走るタフなオフロード車」だとすれば、Premiumは「街を優雅に流すための美しいヴィンテージカー」。オフロード車のような感覚で砂利道を荒っぽく走れば、当然ヴィンテージカーはすぐに傷みますし、壊れやすいと感じるでしょう。でも、それは車のせいではなく、使い方のミスマッチです。

適切なサイズを選び、履く前に少しのメンテナンスをして、用途に合わせて大切に履いてあげる。そうすれば、Premiumラインはその美しいシルエットと、Sola Foam ADCによる極上の履き心地を長く提供してくれます。「壊れやすい」というネットの噂だけに惑わされず、ぜひその特性を理解した上で、あなたの足元を彩る最高の一足を選んでみてくださいね。大切に履けば、Premiumは間違いなく最高の相棒になってくれるはずです。

